「ブロックチェーンという技術はインターネットが第2世代に突入した表れと言える」
この言葉は大げさに聞こえるかもしれない。しかし、スペインのマドリードで開催された「DES - Digital Business World Congress 2017」で、Alex Tapscott氏が企業の幹部やマネージャーを前にして語った内容はさらに踏み込んだものだった。
同氏の主張によると、ブロックチェーンは金融機関が占有していた力を人々に取り戻し、電力網をより効率化し、音楽業界の問題を解決し、ジャーナリズムを救うのだという。
この講演で最も印象に残ったのは、同氏の主張が怪しいセールスマンの振りかざすトンデモ理論ではなく、起業家によるプレゼンテーションのように筋道立っていたという点だ。
米ZDNetと米TechRepublicがメディアスポンサーとなっている同カンファレンスにおいて、2日目の基調講演の演壇に立ったTapscott氏は、「Blockchain Revolution: How the Technology Behind Bitcoin Is Changing Money, Business, and the World」(『ブロックチェーン・レボリューション--ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか』)という書籍の共著者でもある。
インターネットという技術は、情報へのアクセスのたびにファイルのコピーが送信される一方でオリジナルは保持されるという考え方に基づいている。これはデジタル印刷機器とでも言うべき機能だ。
Tapscott氏は「情報の印刷機器が存在するのはよいことだ」と述べ、「しかし、金銭や資産のために印刷機器を用意するのはよい考えとは言えない」と続けた。
そこでブロックチェーンの出番がやって来るというわけだ。
ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは暗号通貨であるBitcoinを支える基盤技術だ。つまり、Bitcoinはブロックチェーンプラットフォーム上で稼働するアプリケーションの1つにすぎない。ブロックチェーンは分散型の台帳機能を提供するものであり、各トランザクションは近傍に存在する複数のトランザクションと関連付けられるとともに、暗号化によって保護される。このためハッキングを遂行するには、近傍のトランザクションすべてと、既に複製されている台帳のその他の部分すべてをハッキングする必要がある(これは現実的に不可能な行為だ)。
この説明でややこしいと感じたのであれば、ブロックチェーンはデジタル資産の追跡を可能にし、その真正性を検証できるようにするとともに、許可のない複製を不可能にするということだけを覚えておいてほしい。
これが通貨にとって計り知れないほどの価値をもたらすのは明らかだ。しかし、契約書やその他の認証された資産のほか、デジタル製品をやり取りする際にも利用できる。例えば、将来的には不動産権利書や選挙の投票にも適用できる可能性がある。