2万人が足を運んでいるアマゾン ウェブ サービス ジャパンの年次イベント「AWS Summit Tokyo 2017」、6月1日の基調講演には米Amazon Web Serviceの最高技術責任者(CTO)、Werner Vogels氏が登壇した。コンピュート、ストレージなどの基本的なインフラの提供にとどまらない、AWSの発展について顧客を交えて話した。
サービスの幅広さと深さが競合との違い
Vogels氏はCTOらしく技術を詳細に解説した。”クラウドはニューノーマル”を提唱し続けた同社だが、Vogels氏によると「2014年にニューノーマルになった」という。2015年には「自社の運命をコントロールするもの」になったと続ける。「将来はクラウドにある」とVogels氏。
AWSは2017年第1四半期、140億ドル以上のランレート(売上)、前年同期比43%増を報告している。

AWSは売上高10億ドルに最速で達成したIT企業だが、ITベンダー各社の直近の四半期の売上の前年同期比の成長率を見ても群を抜いている。
クラウドにより、開発者はインフラにフォーカスする必要がなくなった。だが基本的なインフラは当たり前であって、差別化にはつながらない。AWSは開発者に”スーパーパワー”をもたらす新しいツールを次々と開発し、提供するという。「IoTアプリの構築、オンプレミスからクラウドへの移行、アナリティクスなど、さまざまなサービスを備えている。これは他のクラウドプロバイダーとの違いだ」とVogels氏は言う。

AWSは90種類以上のサービスをそろえる。
AWSは約90種類のサービスを提供するが、単に幅広いツールを提供するだけでなく、「深さ」つまり選択肢も特徴だ。Vogels氏は例として、コンピュートではSAP HANAでよく利用されるX1、深層学習などに適しているというGPUベースのG1、FPGA(Field Programmable Gate Array)搭載のインスタンスでハードウェアアクセラレーションを作成できるF1などを紹介した。

それぞれの分野に複数の選択肢がある”深さ”がAWSの差別化