AWSのベストプラクティスでイノベーションをーーソラコム
AWSのインフラを活用したIoTプラットフォームを提供しているのがソラコムだ。同社はAWS上に3G/LTEのコアネットワークを構築し運用することで、IoTの課題とされているクラウド上にあるシステムとデバイスとの接続、セキュリティ、デバイス管理などの解決を図っている。「デバイスを直接クラウドに、必要があればインターネットに接続する環境を実現する」とソラコムの最高技術責任者、安川健太氏は説明する。

ソラコムの最高技術責任者、安川健太氏
それにあたってソラコムはAWS上にセルラーネットワークに必要なコンポーネントを独自開発し、通信キャリアのネットワークとを直接接続し、仮想移動体通信事業者(MVNO)としてネットワークを提供する。これにより、デバイスからAWSクラウドまで、外部から侵入できない安全な通信網を構築しているという。さらに、AWS上にある顧客のVPC(Virtual Private Cloud)とペアリングしてインターネットに出ないシステムを構築したり、クラウド上のリソースを使ってデータ暗号化などの安全機能を提供したりといったことも実施している。

ソラコムはAWS上に3G/LTEのコアネットワークを構築している。
2015年9月にサービス開始し、2016年には120の国と地域に拡大した。国内外合わせた顧客は6000社に達しているという。その中には、店舗にカメラを置いて客層分析を行うのに利用しているパルコ、ICT建機とクラウドとの安全な通信を行っている小松製作所などがある。
安川氏は、「われわれのような小さなスタートアップが実現できる理由は、AWS上にAWSのベストプラクティスを適用して構築しているから」と断言する。アーキテクチャとしては、Amazon EC2、Amazon DynamoDB、Amazon S3などを活用しており、セッション管理、課金、認証などの機能コンポーネントがマイクロサービスとしてAPIを通じて連携するという仕組みをとる。

ソラコムの内部アーキテクチャはマイクロサービスモデルを採用している
「水平方向のスケーラビリティと組み込まれたレジリアンス(回復)を実現しており、デバイスが増えるに従ってサーバの数を増やしたり、サーバが障害を起こしても自動的に置き換えて修復する仕組みがある」と安川氏は特徴を説明する。
疎結合化と非同期化(サーバレス)も取り入れており、クラウドリソースアダプター「SORACOM Funnel」では、リアルタイムデータ処理のAmazon KinesisのストリームとサーバレスアーキテクチャのAWS Lambdaファンクションを効果的に利用しているという。「AWSの各種サービスをフル活用することで、小さなチームでも高速にイノベーションを起こすことができる」と安川氏は胸を張る。