AWS Summit

AWSのCTOがサーバレス、IoTを解説--データベースベンダーに向けた反撃も - (page 3)

末岡洋子

2017-06-15 07:30

「伝統的なデータベース」に対抗して「最も成長している」Auroraをアピール

 最後のVogels氏は”データベースの縛り”問題を取り上げた。

 前日の基調講演でアマゾン ウェブ サービス ジャパン代表取締役社長の長崎忠雄氏も、リレーショナルデータベース「Amazon Aurora」を「AWS市場最も成長しているサービス」とアピールしたが、この日Vogels氏は既存データベースベンダーと対比させながら、クラウドとオープンソースの組み合わせの魅力を語った。

 「伝統的なデータベースベンダーはロックインがあり、簡単に解放されない」とVogels氏。なお、”伝統的なデータベースベンダー”の1社であるOracleはIaaSに参入後、好んでAWSと自社とを比較している。2社におけるIaaSとデータベース分野での競争は激化していると言える。


 伝統的なデータベースのデメリットとして高額、ロックイン、"罰則的”ライセンスなどを挙げた。

 「多くの企業がクラウドにマイグレーションする際に、データベースも商用のオンプレミスからクラウドのオープンソースに移行する例が多い」とVogels氏、そこで同社が用意しているのが「AWS Database Migration Tool」だ。オンプレミスとAWS間、データベース間での移行、自動的なスキーマ変換、ダウンタイムゼロで移行できるデータレプリケーションなどの機能をもち、これまで合計2万5000以上のデータベースの移行を手がけたという。「多くが商用のオンプレミスからクラウドのオープンソースデータベースだ」と付け加える。

 だが、クラウドとオープンソースデータベースの組み合わせでは性能などの問題が出ていたことから、AWSは「AWS Aurora」を提供することにした。MySQL互換であり、MySQLの標準的なツールが使える上、「性能はハイエンドのMySQLの最大5倍、コストは10分の1」とVogels氏。2014年のre:inventで発表されて以来、「最も成長しているAWSサービスだ」という。


 2日間続けて大きく取り上げられたAmazon Aurora。

 AWSはこれに加え、PostgreSQL互換エディションも提供している。

 Auroraの事例の1つが、旅行サイトのExpediaだ。宿泊インベントリシステムで利用していたMicrosoft SQL Serverからの移行隣、平均のレスポンス時間は書き込みが30ミリ秒、読み込みは20ミリ秒以下、ピーク時には毎秒のインサート数7万件を実現しているという。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]