「伝統的なデータベース」に対抗して「最も成長している」Auroraをアピール
最後のVogels氏は”データベースの縛り”問題を取り上げた。
前日の基調講演でアマゾン ウェブ サービス ジャパン代表取締役社長の長崎忠雄氏も、リレーショナルデータベース「Amazon Aurora」を「AWS市場最も成長しているサービス」とアピールしたが、この日Vogels氏は既存データベースベンダーと対比させながら、クラウドとオープンソースの組み合わせの魅力を語った。
「伝統的なデータベースベンダーはロックインがあり、簡単に解放されない」とVogels氏。なお、”伝統的なデータベースベンダー”の1社であるOracleはIaaSに参入後、好んでAWSと自社とを比較している。2社におけるIaaSとデータベース分野での競争は激化していると言える。
伝統的なデータベースのデメリットとして高額、ロックイン、"罰則的”ライセンスなどを挙げた。
「多くの企業がクラウドにマイグレーションする際に、データベースも商用のオンプレミスからクラウドのオープンソースに移行する例が多い」とVogels氏、そこで同社が用意しているのが「AWS Database Migration Tool」だ。オンプレミスとAWS間、データベース間での移行、自動的なスキーマ変換、ダウンタイムゼロで移行できるデータレプリケーションなどの機能をもち、これまで合計2万5000以上のデータベースの移行を手がけたという。「多くが商用のオンプレミスからクラウドのオープンソースデータベースだ」と付け加える。
だが、クラウドとオープンソースデータベースの組み合わせでは性能などの問題が出ていたことから、AWSは「AWS Aurora」を提供することにした。MySQL互換であり、MySQLの標準的なツールが使える上、「性能はハイエンドのMySQLの最大5倍、コストは10分の1」とVogels氏。2014年のre:inventで発表されて以来、「最も成長しているAWSサービスだ」という。
2日間続けて大きく取り上げられたAmazon Aurora。
AWSはこれに加え、PostgreSQL互換エディションも提供している。
Auroraの事例の1つが、旅行サイトのExpediaだ。宿泊インベントリシステムで利用していたMicrosoft SQL Serverからの移行隣、平均のレスポンス時間は書き込みが30ミリ秒、読み込みは20ミリ秒以下、ピーク時には毎秒のインサート数7万件を実現しているという。