「真の量子コンピュータ」実現への道--IBMの開発状況を読み解く

大関真之 2017年06月22日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 量子コンピュータの開発スピードがここにきて急速に高まっている。そこで今回は量子アニーリングにこだわらず、新時代を築く量子コンピュータの開発状況を眺めてみよう。

 量子コンピュータを代表する2つの方式の一つがD-wave Systems社が販売している世界初の商用量子コンピュータが採用している方式、量子アニーリングだ。現行では2000量子ビットを搭載するD-wave 2000Qというマシンが販売されている。

 ただしこの量子アニーリングは最適化問題に特化して開発されて、変わった利用方法として機械学習への応用がある。極めて限定的ではあるものの、最適化問題そのものの応用範囲の広さから、利用する顧客やユーザーが世界中で増加している。

 前回紹介したようにリクルートコミュニケーションズもD-wave Systemsの量子アニーリングマシンを駆使して、その目を見張る性能の虜になった。

 そしてもう一つの方式がゲート方式による”万能”量子コンピュータと呼ばれるものであり、量子アニーリングのように最適化問題に特化するといった限定が外れ、量子力学で許されたどのような計算もできる文字通り最強のマシンだ。

 その万能性から量子アニーリングをソフトウェアとして動かすこともでき、実際そのような最適化量子アルゴリズムが実装されている。


2000量子ビットを搭載するD-wave 2000Q

 この5月17日に、IBMが17量子ビットの量子コンピュータを披露した。小さな数字に聞こえるかもしれない。しかし非常に重要な一歩を人類が歩んだことを示す数字である。

 われわれが利用しているコンピュータは、プログラムにより指令を送ることで所望の動作をする。いわば自由自在にお願いを聞いてくれる大規模な装置である。

 そのコンピュータの動作原理は、(物理学の観点では)電気が流れるか流れないか、という2つの状態をそれぞれ異なるものとして扱う。

 この2つの状態の間のスイッチングを巧みに利用して複雑な動作を実現させている。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
トランザクションの今昔物語
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
展望2017
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算