“タレントマネジメント”プラットフォームを手掛けるCornerstone OnDemandは6月5日から3日間、同社の顧客向け年次コンファレンス「Cornerstone Convergence 17」を開催した。会場となったカリフォルニア州サンディエゴのMarriott Marquisには、米国のユーザー企業を中心に世界各国から約2000人が参加。60超のセッションでは、先端企業の実践的なタレントマネジメント手法などが紹介された。
会場となったカリフォルニア州サンディエゴのMarriott Marquis
タレントマネジメントとは、才能や資質、経歴などの従業員のタレントデータを一元的に把握し、そのデータ分析をもとに最適なトレーニングや人材配置することで、経営の効率化を実現する仕組みを指す。すでに欧州や米国では多くの企業が活用しているが、日本では雇用形態の違いなどから、その普及は遅い。
コーナーストーンオンデマンドジャパンでカントリー・ゼネラルマネージャーを務める飯島淳一氏は、「日本でタレントマネジメント市場が活況になるのはこれからだ。日本企業でもグローバルでビジネスを展開している企業は、タレントマネジメントの必要性を理解している。2017年は日本にとって『タレントマネジメント元年』になる」と語る。
同社のタレントマネジメントシステム「Cornerstone」はSaaSモデル。「ラーニング(教育)」「HR(人的資源管理)」「パフォーマンス(業績評価管理)」「リクルーティング(採用)」の4つのスイートを柱にそれぞれに必要な機能をモジュールとして提供している。
Cornerstoneは「ラーニング」「HR」「パフォーマンス」「リクルーティング」の4つのスイートに大別されている
Cornerstoneの強みは、ユーザー企業が同システムを利用することで取得できるデータを活用できることだ。ユーザー企業は、世界191カ国3000社に上り、総ユーザー数は3000万人を超える。そうした顧客から集まるデータを利用合意を得た上で匿名化し、サービス向上や新機能開発に役立てている。
例えば、「特定のポジションに就くにはどのようなトレーニングを受けるべきか」を知りたい場合、過去に同ポジションに就いた人材のトレーニングプログラムやスキルセットに関するデータを参考にできるといった具合だ。
ラーニングにもパーソナル化の波
6月6日の基調講演には、プレジデント兼最高経営責任者(CEO)のAdam Miller(アダム・ミラー)氏が登壇。「The Age of Experience」をテーマに、従業員に対する一貫した学習体験を提供する重要性を訴求するとともに、同社製品の機能拡充も発表した。
Cornerstone OnDemand プレジデント兼CEO Adam Miller氏
「技術の進化によって企業、従業員を取り巻く環境は激変している。Amazon.comの台頭で近い将来に小売店舗の25%は閉鎖されるという予測がある。一方、『物理的にオフィスに通う』というこれまでの働き方は、当たり前でなくなった。モバイルデバイスとネットワーク環境さえあれば、従業員はリモートでも仕事をしたりミーティングに参加したりできる」
冒頭、Miller氏は技術革新がもたらすインパクトについて言及した。
中でも同氏が強調するのは「パーソナライズの重要性」である。個人の属性や興味関心に基づき、最適化されたものを提供するパーソナライズのトレンドは、広告やコンテンツ配信、さらには実店舗の接客にまで広がっている。
Miller氏は、「ユーザー(従業員)はパーソナライズされたサービス、情報を享受することが当たり前になりつつある。われわれが提供するラーニングコンテンツも、パーソナライズした形で提供していく。ラーニングコンテンツは使われないと意味がない。継続的にトレーニングをすることで、従業員にとってはキャリア形成支援に、企業にとっては適材な人材開発につながる」と語る。