Hewlett Packard Enterprise(HPE)は6月6日、米ラスベガスで開催中の年次イベント「HPE Discover Las Vegas 2017」でコンポーザブルインフラを一歩進めた。同社でソフトウェア定義の取り組みを統括するRic Lewisは、数年がかりのプロジェクトという「Project New Stack」を明らかにした。
パブリック/プライベートクラウドとオンプレミスなどで構成されるハイブリッドITをシンプルにするに当たって、障害となっていた管理を解決するものとなる。
競争に勝つにはハイブリッドIT環境が必須
Lewis氏はまず、全体のトレンドとしてデジタル化の波を挙げる。デジタル面で強化した製品、サービス、体験を提供できるかどうかが死活問題になっているというのだ。「アプリケーションの重要性が高まり、それに伴いアプリケーション開発へのニーズが爆発的に増えている」とLewis氏。
そして、「2020年には、新たに開発されるアプリケーションの75%がクラウドネイティブになると予想されている。だが、そこには既存のITが存在している」と課題を指摘する。70〜80%が伝統的な環境にあり、並行して動かす必要がある上、85%が複数のクラウドを利用するマルチクラウドになると予想している。
HPE シニアバイスプレジデント兼コンバージドデータセンターインフラ担当ゼネラルマネジャー、Ric Lewis氏
ITのオペレーションは複雑になるばかりだが、事業部からは「速く新しい機能を」と、幹部からは「投資効果は?」と聞かれる。これを解決するためには、ハイブリッドITを導入し運用していく必要がある、というのがHPEの提案だ。つまり、現在バラバラに扱っているクラウドとベアメタルなどの環境を、統一させて一貫性を持って運用するということになる。
「ハイブリッドITを実現できた企業が勝つ」とLewis氏。
そして、複雑なハイブリッドITをシンプルにする、というのがHPEの約束だ。
NutanixのライバルSimpliVityを買収
具体的には3つの方向で進めているという。ハイパーコンバージド、コンポーザブル、ユニファイド管理だ。
ハイブリッドIT戦略ではコンポーザブルインフラの「HPE Synergy」に加えて、買収したSimpliVityと新規開発中のProject New Stackが加わった。
ハイパーコンバージドは、HPEが2月に買収完了したSimpliVityにより実現する。SimpliVityはNutanix競合のハイパーコンバージド技術ベンダー。VMware、Hyper-Vに対応し、データの圧縮と重複排除に優れる。プラットフォームに弾力性とバックアップ・ディザスタリカバリを組み込んでおり、リソースの使用を改善できるだけでなく、データも保護できる。圧縮と重複排除は一度行うだけで、バックアップ用ハードウェアは不要。
「仮想マシンのストレージとバックアップのキャパシティを90%削減でき、3クリックで仮想マシンのバックアップと復旧ができるシンプルさも備える」などとメリットを紹介した。
買収から4カ月足らずで、「HPE SimpliVity 380 with OmniStack」としてHPEの工場で統合している。すでに2000以上の顧客があるという。
2UのHPE ProLiantに統合したHPE SimpliVity 380 with OmniStack