日本株展望

米利上げ実施--大手銀行株に追い風? - (page 2)

ZDNet Japan Staff 2017年06月15日 11時04分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

日本の3メガ銀行は長期金利ゼロでも、数千億円の純利益を上げる力がある

 3メガ銀行の利益は、長期金利が低下すると、どんどん減るわけではない。実際、日本の長期金利が一時マイナスまで落ち込んだにもかかわらず、安定的に数千億円の純利益を稼ぎ続けている。

3メガ銀行の連結純利益推移:2014年3月期(実績)~2018年3月期(会社予想)

3メガ銀行の連結純利益推移:2014年3月期(実績)~2018年3月期(会社予想)
出所:2018年3月期予想は会社予想、三菱UFJは会社目標。各社資料より楽天証券経済研究所が作成

 三井住友FGとみずほFGは2014年3月期に、三菱UFJは2015年3月期に最高益を上げた後、利益水準が少しずつ低下してきている。それでも今でも年間数千億円の純利益を稼ぐ力がある。金利が低下すると株式市場で銀行株が投げ売りされるが、3メガ銀行に限っていうと、それは投資家の誤ったイメージによるものと考えている。

 3つの多角化によって、3メガ銀行はマイナス金利下でも高収益を維持できている。

(1)ユニバーサルバンク

 商業銀行業務だけでなく、投資銀行や証券、信託、リース、消費者金融などに幅広く業務の多角化を行い、収益を安定化させている。

(2)与信先の多角化

 預貸金スプレッドは、長短金利スプレッドと信用スプレッドから構成される。長期金利がゼロになると、長短金利スプレッドは得られなくなり、信用スプレッドだけが残る。預金を集めて大企業に貸すだけでは信用スプレッドも取れないので利ザヤが得られない。

 メガバンクは、与信先を大企業から中小企業や個人に広げているので、長期金利がゼロになっても、利ザヤは残る。消費者金融では、信用スプレッドが大きいので、長期金利の低下があっても厚い利ザヤが得られる。

(3)海外業務の拡大

 利ザヤの厚い海外での与信を拡大することで、利ザヤを維持している。三菱UFJ FGは特に海外進出で先行している。続いて、三井住友FGが海外進出を強化している。みずほFGは、やや海外進出で遅れをとっているが、これから一段と海外を強化していくところだ。

3メガ銀行の株価バリュエ-ションは極めて低い--見直し余地大と考える

 3メガ銀行株は、高水準の純利益を上げているにもかかわらず、長期金利とともに株価が大きく下がったために、株価収益率(PER)・株価純資産倍率(PBR)が低く、株価指標で見ると株価は割安である。予想配当利回りは高めで株価バリュエーションは魅力的だ。

3メガ銀行の株価バリュエーション:2017年6月14日現在

3メガ銀行の株価バリュエーション:2017年6月14日現在
注:配当利回りとPERは会社予想ベース、三菱UFJ FGのPERは会社目標純利益から計算、楽天証券経済研究所が作成

 今後、日米で長期金利が上昇する場合は、3メガ銀行の株価は、大きく上昇すると予想している。ただし、日本の長期金利(10年国債利回り)がマイナスになると、銀行株は下落すると考えられる。

 長期金利が大きく動かない場合は、銀行株も大きくは動かないと予想する。その場合でも、配当利回りが高めなので、好配当利回り株として投資していく価値はあると考えている。

収益の多角化ができていない銀行は、株価バリュエーションが低くても投資価値は低い

 上記の3つの多角化ができていない銀行は、長期金利の低下で大きなダメージを受ける。具体的には、預金を集めるのが主な業務で、集めたお金のほとんどを国債で運用してきたゆうちょ銀行(7182)は長期金利低下のダメージが大きくなる。また、預貸比率の低い地方銀行やその他中小金融機関は、総じて金利低下で大きなダメージを受ける。

 ゆうちょ銀行(7182)や地方銀行は、PERやPBRで見た株価バリュエーションが低くても、投資魅力が高いとは言えない。

 りそなHLDG(8308、予想配当利回り3.3%)、三井住友トラストHLDG(8309、同3.3%)については、地方銀行よりは多角化ができているので、好配当利回り株として保有しても良いと思う。ただし、3メガ銀行のように海外で利益を稼ぐ力がないので、3メガ銀行ほどの投資魅力はない。銀行株への投資は、3メガ銀行に絞った方がいいと考えている。

 過去記事は、キーワード「日本株展望」から読めます。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]