基幹システムのクラウド移行、キーワードは「Lift&Shift」(後編) - (page 2)

山田竜司 (編集部) 飯田樹

2017-06-20 07:00

 今の基幹系の事例はアーリーアダプターが多いので、優秀な最高情報責任者(CIO)の方が中心になって進めており、そういう方は、最初から「クラウドによる自動化」のメリットが享受できる作りにジャンプアップすることもできます。

 一方で、これからはより多くユーザーに今回のように、標準化が求められると思います。その点では、「棚卸し、判断、AWSに行くならLift&Shift」という定型化されたアプローチなら、どんな組織でもリピートできます。

 また、大きな企業だと、組織構成の話も大事なので、既存のベンダーや情報システム子会社との関係性において、われわれがどこにどういうスキルをトランスファーすると、全体としてクラウドシフトが進むのかを、顧客と考えながら進めています。

 --”基幹系システム”の定義は顧客によってもさまざまだと思いますが、例えばSAPをAWSで運用したいというケースで「棚卸し」まで完了しているとすれば、実際にどれくらいの割合の人がAWSにするのでしょうか。

 感覚的には、オンプレミスのまま運用する場合と、SAPが提供しているクラウドなどを様子見している場合、AWSに行こうとする場合が3分の1ずつくらいです。

 -- ERPをAWSに乗せると決めた場合は、どうなるのでしょうか。

 例えばSAPの場合、単純に構成を作って乗せてデータを移送するのですが、データ量が多いのでここが一番ネックになります。

 SAPのシステムを停止できる時間も結構大事なので、止められる時間内にデータの移送が全部終わるかをシミュレーションして進めていく感じになります。

 --御社の顧客のうち、基幹系をAWSに乗せた方が良いという割合はどれくらいですか。

 そのままAWSに持っていった方が良いことがほとんどです。新しい企業はSaaSなどにもなじんでいただきやすいため、メールサーバを移さずにチャットツールの「Slack」に変えたり、ファイルサーバを使わずにオンラインストレージのBoxにしたりできます。

 一方で、歴史が長い企業ほど独特な文化とか仕組みがあり、簡単には一般的なSaaSに置き換えられないので、As-Is(現状)でクラウドに持っていくことになるケースが多いです。会社の規模や歴史によって状況が違うのではないかと思います。


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