IoT関連のビジネスを推進している企業が現れ始め、国もその動きを加速させている。これまでIoT関連の事業では、既存のビジネスの「カイゼン」などに重点を置いたものが多かったが、今後、IoTで新しいビジネスを創るには、何が必要なのか。IoT分野で新規事業を推進するために必要な考え方や事例を、新興ベンダーを中心に議論する。参加者は以下の5人。今回は最終回(第1回)(第2回)(第3回)(第4回)(第5回)。
参加者(順不同)
- ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
- エスキュービズム 取締役 武下真典氏
- シーオス 代表取締役社長 松島聡氏
- ウフル 専務執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼氏
- 東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
ZDNet:これまでの議論から志村さんは、どんなビジネスなら製造業がサービス化したり、シェアされることが可能だと思いますか。

東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
志村氏:ものづくりの世界でのシェアエコノミーは、理想はあっても難しい面があります。自社の稼働を全部オープンにして、「このラインが来月空く」と分かるようにしたら、誰かが注文してくれる世界が来るかということです。
AirbnbやUberなど、CからC(消費者から消費者)へ展開するのはビジネスモデルも考えやすいし、win-winの関係を作りやすいですが、企業と企業でシェアリングエコノミーをやるには、本当に腹を割ることができる人たちでないと駄目です。
あと10年はない気がしますが、17歳の時にiPhoneが登場した人たちは、今27、8歳なので、彼らが十何年後に40歳くらいで会社の執行役員などになると、デジタルトランスフォーメーションができる人たちが現れるかもしれません。
彼らはスマホであらゆることにつながる人たちなので、そういう意識の人が上役になったらBtoBのなかでもシェアリングエコノミーみたいなものが発生する可能性はあるかなと思います。
私は消費者としてはシェアリングエコノミーは賛成ですが、企業人としては、難しいと感じています。