スーパーコンピューターランキング「TOP500」の最新の順位が発表された。上位2位は前回同様に中国勢が占め、これまで3位だった米オークリッジ国立研究所の「Titan」に代わり、スイスにあるCrayのシステム「Piz Daint」が3位となった。
提供:Top500
米国のシステムが上位3位から漏れるのは21年ぶりとなる。前回3位から漏れたのは1996年、日本勢に順位を譲った時のことだ。
このところ上位は中国が占めており、今回も1位は中国の「神威・太湖之光」で、浮動小数点演算では地球上で最大のシステムとなる。国家並列計算機工学技術研究センター(NRCPC)で開発されており、LINPACK性能テストでは93.0ペタフロップとなっている。
神威・太湖之光は中国で設計されたプロセッサを搭載しており、このベンチマークはシステムがローンチした2016年6月から変わっていない。
2位は「天河二号」で中国国防科学技術大学が開発、33.9ペタフロップを記録している。
3位のPiz Daintは、スイス国立スーパーコンピューティングセンターのスパコンで、NVIDIAのGPUを採用したCray XC50システムにアップグレードしたところだ。これにより、米エネルギー省(DOE)のオークリッジ国立研究所の「Cray XK7」システムであるTitanは4位となった。TitanのLINPACKスコアは17.6ペタフロップ、これはシステムが設定された2012年から変わっていない。Piz Daintの2016年11月のスコアは9.8ペタフロップだったが、「NVIDIA Tesla P100」GPUへのアップグレードにより、スコアは倍増している。
提供:Jason K Richards/ Oak Ridge Leadership Computing Facility
トップ3からの落選は、ある程度予想されていたものだ。DOEと米国家安全保障局(NSA)は2016年12月、高性能コンピューティング(HPC)分野における米国のリーダーシップが脅威にさらされることになると警告していた。この警告では、中国がHPC分野の開発を加速させており、米国は10年単位で投資を「大きく増やす」必要があると示唆していた。投資を増やさなければ、「10年以内にHPEの能力のギャップが大きく乖離する」と記していた。
「Green500」では日本勢が上位を占めた。1位は東京工業大学の「TSUBAME 3.0」、2位は、ヤフーとExaScaler、HPCシステムズが開発した「kukai(クウカイ)」。これに産業技術総合研究所の「産総研AAIC」が続いた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。