Alibabaグループが営んでいる事業の数は、おそらく読者が考えているよりも多い。同グループは、巨大なeコマースプラットフォームであり、クラウドインフラプロバイダーでもある。決済や金融サービス、物流、マーケティングなどの事業も抱えているほか、デジタルメディア事業まで持っている。
これらをつないでいるものは、データだ。
Alibabaの最高経営責任者(CEO)Daniel Zhang氏は、Alibabaをデータ製造企業と呼んでいる。Zhang氏は、同氏が使っている「Alibaba経済」という言葉について説明し、すべての事業をつないでいるものは、「消費者に関する知見とデータだ」と述べている。
「Alibabaは経済であり、この経済の構成要素を見ていけば、各事業の間に明確な相乗効果があることがわかる」とZhang氏は言う。「共通しているのは、事業を推進するのにデータを使っているということだ。Alibabaはデータの企業だ」
Zhang氏によれば、Alibabaはデータを吸収し、さらに多くのデータを生み出し、そして顧客、買い手、売り手、パートナーに対する知見を提供しているという。
同社のデータに対するアプローチと、Alibabaの事業スタックが成果を上げているのは明らかだ。最高財務責任者(CFO)Maggie Wu氏によれば、同社の2018会計年度の予想売上高成長率は45~48%の間だという。この見通しは、杭州で開催されたAlibabaの投資家向けイベントで喝采され、ウォールストリートでも歓迎された。
データファースト企業を目指している企業であれば、同社の投資家向け年次イベントは一見の価値があるはずだ。デジタル変革やその構成要素(クラウド、人工知能、IoT、アナリティクスなど)に関する議論を煎じ詰めれば、その技術やビジネスの変化は「データ」という一言に集約される。
データを上手に使えば、企業は成功する。データは通貨であり、ビジネスの燃料だ。以下では、Alibabaの戦略に見て取れるいくつかの教訓を紹介しよう。
事業と顧客ベースを経済であると見なす。Alibabaが使っている経済のアナロジーが成立するのは、同社が商取引の企業だからだ。ただし、その指針となっているビジョンは、もう少し実現しやすい。このビジョンと収益モデルを組み合わせると、一見関係が薄いように見える事業の間のつながりを見いだすことができる。「Alibabaは顧客のライフサイクル全体を横断的に扱っている」とZhang氏は述べている。
次の2枚のスライドは、Alibaba経済をよく表している。