人材獲得競争の激しい時代に、こうした優秀な人材に出会うためには、戦略的な攻めの採用活動が必須であり、それに伴い採用担当者は採用力を高めるために専門的なスキルを身につけなければなりません。
こうした主体的・能動的な採用活動を推進し、戦略的に採用活動全体をプロデュースする採用専門職は「プロ・リクルーター」と呼ばれており、海外ではすでに職種として確立されています。
※日本の新卒採用活動において、学生の先輩役として配置される「リクルーター」とは区別します。
それを表すように、LinkedInの『Global Recruiting Trends 2017』では、「人材採用チームが新たに雇用したい職種」として「リクルーター」が最も多く、全体の33%にも上っています。
また、米国の情報提供メディア『ERE』が、リクルーターを対象としたカンファレンス『ERE Recruiting Conference』を毎年開催し、リクルーティングノウハウや事例の共有を大規模に行うといったことなどからも、海外では「リクルーター」の重要性認知が高まっていることがうかがえます。
日本でも、IoTやAI、ビッグデータなど事業のデジタル化を担うIT人材を外部から採用するため、リクルーターを配置する企業が少しずつ増えてきています。
なお当社でも、ヘッドハンティング会社出身で採用マーケットの相場観や採用ノウハウなどに一定の知見を持つ社員が、エンジニア採用の「プロ・リクルーター」として活躍しています。
日常的に、経営幹部や事業部長から経営戦略をヒアリングし、採用活動のPDCAをまわしながら今後必要となる人材の要件定義や、採用計画の立案・実行を行っています。
一方で「プロ・リクルーターの育成」には課題もあります。日本では、採用担当者の在任期間は平均約6年といわれており、採用を経営の重要課題に押し上げ、体系立てていくには期間が短いため、専門職が育ちにくいとされています。
企業における採用活動が重要となるなか、今後は日本でも専門職として「プロ・リクルーター」を育成していくことが急務となるでしょう。
今回は、戦略人事におけるHRBPやプロ・リクルーターなどの重要性について解説しました。人材獲得競争やグローバル化が進むなかで、戦略人事に取り組む企業はさらに増加するでしょう。
それに伴い、HRテックツールを活用した、人事のオペレーショナルな業務の効率化や採用ツールの活用が広がっていくはずです。
だからこそ、CIOや情報システム部門は「攻めの姿勢」で管理部門、特に人事部門との連携を進めることが求められます。
次回は、企業におけるHRテックツール活用の広がりについて解説する予定です。
- 多田 洋祐/株式会社ビズリーチ 取締役
中央大学卒業。エグゼクティブ層に特化した人材紹介会社を立ち上げてトップヘッドハンターとして活躍する。2012年、人事部長として株式会社ビズリーチ入社。現在はキャリア事業のトップとして、「ダイレクト・リクルーティング」の本格的な普及に努める。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、20代のためのレコメンド型転職サイト「careertrek」、戦略人事クラウド「HRMOS」などを展開。