IoTで重要なのは「データをためておくこと」--オープンイノベーションコミュニティの成果

山田竜司 (編集部)

2017-06-22 10:21

 ウフルは6月21日、第2回目となる「IoTパートナーコミュニティフォーラム」を開催した。オープンイノベーションによるビジネス創出を目的とし2016年7月に始まった「IoTパートナーコミュニティ」の2017年1~6月の成果を発表した。

 今回は概念実証(PoC)の構築、実証実験など、8つのワーキングループのリーダーが代表して、成果を報告しあった。


ウフルIoTイノベーションセンター マネージャー松浦真弓氏

 次のターム(2017年7月〜12月)では、新たに、「ウェアラブル活用」「オフィスIoT」の2つのワーキンググループが活動を開始する予定であり、「実ビジネスに進むグループもある」(ウフルIoTイノベーションセンター マネージャー松浦真弓氏)という。

 フォーラムでIoT×AIのワーキンググループは、「(機械学習など)AIを身近なIoTデータで分かりやすく表現する」を目標にオフィス内のトイレや会議室の使用状況や社員・備品の位置情報、機器の振動などのデータを解析し、可視化した。

 このグループに参加しているウイングアークが入居する渋谷オフィスの4~17階のうち、17フロアにまたがり、LPWA(Low Power Wide Area=省電力型の広域ネットワークサービス)の、LoRa(ローラ)ゲートウェイと子機でネットワークを構築。トイレにつけたセンサから「入退出」「滞在時間」などのデータを蓄積してきた。

 このデータとオフィス内の無線LANの接続データから、オフィスに滞在している人の数を割り出したほか、外気温と室温の関係に注目し、トイレが空いているかどうかを割り出す、「トイレの空き率」を算出するモデルを構築したという。

 モデル構築のために、トイレの空き率に関する変数は何か、仮説を検証し、センサデータを分析するための前処理を施したのち、ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「MotionBoard」で可視化、分析支援サービスAzure Machine Learning (Azure ML) でモデル化するという流れをたどったと説明。

 分析に取り掛かって成果を公開するまでの時間は1か月ほどだったが、これまでセンサデータや無線LANの接続データを「貯めていた」ため、分析結果をまとめるに至ったという。IoTでビジネスを展開しようと思っても、データをためるのに時間がかかる点を強調した。


 このほか、セゾン情報システムズと、GMOインターネット、GMOグローバルサインがパルコと共同で、ブロックチェーンとIoT技術を活用した「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」をウェブ通販サイト「カエルパルコ」と連携して実施することを発表。着実にPoCや実サービス化に向けて活動している点をアピールしていた。

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