ハードから読み解くITトレンド放談

プロセッサから見るサーバトレンド--次のXeonはどうなるか? - (page 3)

山本雅史

2017-06-30 07:00

 この他、2017年春に発表された新しいフラッシュメモリの3DXPointを利用したサーバ向けPCIExpress接続の「NVMe SSD」(Intel Optane SSD DC P4800X、Intel SSD DC P4600など)を複数台管理するIntel Volume Management Device (Intel VMD)が用意された。 Intel VMDではドライブのホットスワップがサポートされ、さらにサービスの中断を最小限に抑える「ホットプラグ」機能がサポートされている。

 また、プロセッサの内部構造に関しても、Xeon E7/E5で採用されていたリングバス(コア間を接続する高速バス)から、コアを縦横のバス(メッシュバス)で接続する。つまり、リングのようなループ構造によって接続するのではなく、縦横の2Dで接続することによってコアの配置設計を容易にする。コア数の増減などで設計が異なるような事態を解消し、設計がシンプルなXeon Processor Scalable ファミリーを実現した。Intelは、SAPのイベントで、Xeon PlatinumがXeon E7より約1.6倍高いパフォーマンスを実現しているとアナウンスしている。


SAPのイベントで発表されたフラッシュメモリの3DXPointを使用したDIMM「Intel persistent memory」。メモリソケットに挿すことで、高速かつ不揮発性を持つストレージやメモリとして利用でき、SAPのインメモリデータベースHANAのパフォーマンスを数倍にアップさせる

 このイベントでは、フラッシュメモリの3DXPointをメモリモジュールに使用した「Intel persistent memory」が発表された。Intel Optane SSD DC P4800Xなどとは異なり、PCIExpressインタフェースでストレージとして動作するのではなく、メモリインタフェースに直接挿すことができるため、メモリに近いスピードで動作する。電源を切ってもデータがそのまま保持される。これによって、インメモリデータベースなどのアプリケーションでは、ストレージを使用せずに膨大なデータを処理できるようになるため、Intel persistent memoryにはサーバのパフォーマンスを一段階アップさせるパーツとしての役割が期待されている。

 Intel persistent memoryをサポートするXeonプロセッサは、Skylake世代のXeon Platinum/Goldではなく、2018年リリース予定のCascade Lakeでサポートされる予定だ(Intel persistent memoryも2018年のリリースを予定する)。

 現時点でCascade Lakeに関する情報はほとんどない。コンシューマー向けプロセッサには、第7世代のKabylake世代がリリースされ、次世代としてはCoffeeLakeが用意されている(Kabylakeよりも30%パフォーマンスがアップすると発表されている)。

 こうした動向をみれば、サーバ向けのCascade Lakeは、コンシューマー向けプロセッサとは異なる製品になるかもしれない。コアのアーキテクチャなどでコンシューマー向けとサーバ向けに大きな違いを出すことはできないため、サーバ用途で必要な命令セットや機能を取り入れたモノを、Cascade Lakeというコード名にしているのかもしれない。今後は、コンシューマー向けとサーバ向けで、必要とされる機能が異なっていくため、コアのデザインも分かれていくことも予想される。

(編集部注:本記事では予想を含むため、製品化された場合に記事と異なる場合があります。)

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