松岡功の一言もの申す

GoogleとNTT Comの協業に見るクラウド連携形態の“旬” - (page 2)

松岡功

2017-06-22 12:00

「パブリック」と「ホステッドプライベート」のクラウド連携

 両社のクラウドサービスは、いずれもグローバルに展開している「メガクラウドサービス」とも言われるが、GCPがパブリッククラウドサービスなのに対し、Enterprise Cloudはホステッドプライベートクラウドサービスが中心の提供形態となっている。実はこの違いが、今回の協業につながっている。

 企業ITのクラウド化が進むにつれ、日本ではとりわけ大手システムインテグレーターが提供するホステッドプライベートクラウドサービスを利用するケースが増えている。「プライベートクラウド・アズ・ア・サービス」と言い換えてもいいが、利用が増加している最大のポイントはきめ細かいマネージドサービスにある。

 ただ、ホステッドプライベートクラウドサービスでは、例えばトラフィックが急増した際のスケーラビリティに懸念がある。それを補うためには、メガパブリッククラウドサービスといつでも連携できるようにしておくのが望ましい。

 スケーラビリティだけでなく、サービスの内容に応じて両方をうまく使い分けることも考えられよう。その意味で今回の両社の協業は、現在のクラウド連携形態の“旬”を表しているともいえよう。

 IaaSにおけるメガパブリッククラウドサービスは今や、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、そしてGCPの“三つ巴”合戦になった。したがって、ホステッドプライベートクラウドサービスベンダーは、この3社と協業を図るケースが増えている。

 例えば、NTT ComはEnterprise Cloudにおいて既にAWSやMicrosoft Azureと連携できるようにしており、今回のGCPとの接続でメガ3社とすべてパートナーシップを結んだ形となった。一方、Googleも既に一部の大手システムインテグレーターと協業しているが、今後はもっとパートナーエコシステムを拡充していくことがポイントになる。

 ただし、大局的な観点から、将来的にホステッドプライベートクラウドサービスが使い続けられるのかどうか。言い換えると、パブリッククラウドサービスの割合がどんなスピードで増えていくのか。クラウド市場における最も重要な「読み」はこの点にあるだろう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]