日立製作所は、人工知能(AI)を活用したロボティックプロセスオートメーション(RPA)を開発したと6月22日に発表した。同システムは、すでに財務のシェアードサービスを請け負っている日立マネジメントパートナー(日立MP)で試験運用され、証票に対する照合承認作業の70%を自動処理できることが確認されている。
日立は、単語の属性を識別し、文字情報セットの確実性を推定するAIを開発、同システムに搭載。これらの機能でさまざまな様式で作成された証票の文字情報を読み取り、申請者の入力情報と照合して承認の判断を自動化する。

RPAシステムによる出納業務フロー(日立提供)
これまで、光学的文字認識(OCR)技術であらかじめ登録した様式の証票の文字情報を機械で読み取ることができたが、新たな様式の証票を読み取るためには、様式を登録する作業が必要だった。また、照合承認作業でもオペレーターによる確認が必要となり、作業負荷が課題となっていた。同システムでは、自動的に照合承認作業が行えなかった証票については、人手による照合、承認にまわされる。
単語の属性識別機能では、単語の周辺に位置する別の単語や文字との関係性を分析して、単語が持つ属性を識別する。例えば、単語の左端に「¥」があれば金額、数字3つごとに「,」があれば金額と識別する。

単語の属性識別機能と文字情報セットの確実性推定機能(日立提供)
文字情報セットの確実性推定機能では、承認に必要な項目となる「宛先名」「請求者名」「請求金額」を「文字情報セット」とし、最適なセットを選び出す。例えば、「御中」という単語が近くにある会社名は「宛先名」である確実性が大きい、「請求」という単語の近くになく、文字サイズの小さい金額は「請求金額」である確実性は小さい、などと推定していく。
日立MPは、同システムを10月から出納業務に適用する。旅費精算や年末調整など他の間接業務にも適用していく予定。