Twitterへの不満からマストドンを開発
Rochko氏はそもそも、なぜマストドンを作ったのか――同氏によれば、もとのアイデアは数年前に友人が教えてくれたものだという。
「その当時、『フェデレーテッド・ソーシャルネットワーク』というアイデアは、私がまだ若いということもあって注目しなかったのですが、2016年5月頃に、Twitterがユーザーにあまり歓迎をされない変更をした際、ソーシャルについてコントリビューションすべきだと考えました」(Rochko氏)。そこで、Twitterの代わりに使えるものをゼロから作ることにしたとのことだ。
「Twitterにはいろいろな問題点があります。でも、それは企業としての間違いではなく、コマーシャル企業が行っていることと、一元化、中央集権化されたサービスであることに問題があると思いました。Twitterを変えるだけでは解決しません。そこでフェデレーテッド・ソーシャルネットワークというアイデアを選び、新たなソーシャルとして構築しようと考えました」(Rochko氏)
Rochko氏の見解では、Twitterは利用者と経営者とのコミュニケーションがあまりなされていないといい、それは、経営側の推進する収益化策を利用者が支持していないことだと分析する。そこでマストドンは、一元化ではなく分散化することによって、長期的なメンテナンスを可能にしたとのこと。「データセンターもインスタンスごとに幾つかのサーバがあればいいので、大規模にも対処できます」(Rochko氏)
加えてRochko氏は、マストドンの特徴に”インスタンスの走り方”を挙げる。「自分自身のルールを適用でき、他人のルールに従う必要はありません。日本の人たちも、Twitterを自身のストラクチャで守っていくことができるわけです。シリコンバレーのルールに縛られることもありません。これはドイツも英国も同じです」(Rochko氏)
こうしたRochko氏の考えについて鷲北氏は、「サービスが企業の大きな資本によって集積型になっている現在の状況に、分散型というアイデアで一石を投じたマストドンは非常に面白いと感じます」と応じた。
さくらインターネット研究所所長の鷲北賢氏(写真左)とタレントの池澤あやか氏
池澤氏は、同様のソフトウェアも数多くある中で、マストドンが成功した要因を質問。Rochko氏は、「オープンなプロトコルを使用するプラットフォームを選択したことが大きいと思います。また、ユーザーフレンドリーになるよう、ユーザーインタフェースは非常に注意深く作り込みましたし、なるべくシンプルなAPIを作りました。この2点も成功要因だと思います」と答えた。