欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)は、2018年5月25日に施行される予定だが、企業がこの規制に準拠するためには、人工知能(AI)が重要な役割を果たすと考えられている。
GDPRは企業に対して、EU市民の個人情報を保護し、いつでも情報のフローを知ることができるようにすることを求めている。この規制は、EU圏内で活動する企業にのみ適用される(これは、事実上あらゆる企業が対象になることを意味している)。規制を破った場合のペナルティもかなり高額だ。
GDPRには、一部の企業を怖じ気づかせるだけの力がある。
GDPRの施行が迫っているのに合わせて、各テクノロジ企業が、規制に対応するための特効薬の提供を急いでいるのも不思議ではない。戦いののろしは上がり始めている。
IBMは一連の情報ガバナンスツールをリリースした。これらのツールは、データサイエンスや機械学習とリンクしている。同社はまた、データガバナンスフレームワーク「Apache Atlas」を前進させる組織「Open Data Governance Consortium for Apache Atlas」を結成した。IBMのオープンソースアプローチは、Hadoopコミュニティと密接に連携している点で興味深い。ビッグデータは規制当局や情報の保護を要求する規制に従おうとする企業にとって、争うことが難しい話題になるだろう。
IBMはGDPRへの対応に使えるソフトウェアプラットフォームを持っている。これは、「Information Governance Catalog」や、データ可視化ソフトウェアである「StoredIQ」、欧州中のデータサイエンティストが使用できるモデルなどからなっている。
Informaticaは、「Data Governance and Compliance Solution for GDPR」を発表した。このアプリケーションは、事業部門、IT部門、セキュリティチームを同じ土俵に乗せるように設計されている。その目標は、GDPRに準拠するための対応をできるだけ自動化することだ。このソフトウェアはInformaticaの人工知能プラットフォームである「CLAIRE Engine」を利用している。
Veritasの最高経営責任者(CEO)Bill Coleman氏は、GDPRの施行を、データセンターやパブリックラウドプロバイダーを流れるデータの管理、バックアップ、保護のための戦略にとって、重要な機会だと考えている。Coleman氏はGDPRが、規制に対応するために企業がソフトウェアやテクノロジを導入する機会になっているという点で、米国のSOX法と同じ性質を持っていると述べている。
MobileIronやQualys、Kasperskyをはじめとする多くの企業が、GDPR準拠のテクノロジを売り出している。
GDPRが盛り上がっているのには十分な理由がある。企業は規制を守れなければ今後の展望が崩れる可能性があることを懸念しているのだ。
2018年5月が近づくに従って、GDPRに関する話題が増えるのは確実だろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。