シンプルな解から提供している
今日では巨大なサービスとして知られるもの、例えばGoogleなどが該当するが、ほとんどの場合において当初はシンプルな解を提供するサービスであった。
GoogleはGmailやDriveなどのサービスを思い浮かべる人もいるだろうが、最初の提供価値はインターネット上の情報を「検索」することだった。
他にも多くの例(AmazonやFacebookなど)があるが、大きなイノベーションほど最初は誰にでも理解できるシンプルな解である必要がある。
これら4つの事例もシンプルな解を提供しており、他に応用の目があったとしても最初からそれらを混ぜて提供はしていない。まず受け入れられること、言い換えればデジタイゼーションの不可逆性を感じてもらうことに重点をおいているのである。
コメディ劇場の事例ではその後に発展させず単発の試みとして終了してしまっているが、そもそもやってみなければその後に続けるべきかどうかも分からない。デジタル人類は結果だけを見て挑戦が間違っていたかどうかを判断しないのだ。
本稿では4つの事例と3つの共通の思考の枠組みについて紹介した(図3にまとめる)。
飲食業や製造業、エンタメ業、運輸業とジャンルは全く異なるが、デジタル人類が暗躍した結果であると思われる点は共通である。
筆者はコンサルティングサービスを提供中に、顧客から「IoTでの変革事例が激しい業界はどこか」という質問を受けるケースがあるが、はっきりと「業界色はない」と説明している。
強いて言えば、デジタル人類が「集まりやすい」業界は少なからず存在するかも知れないが、そもそも人類に一定数存在することを考えると、特定の業界に大きく偏ってしまうことは考えにくいのだ。

図3:IoT事例から読み解く思考の枠組み
読者諸氏の身の回りの人間が紹介したこの3つの共通点を持って変革に臨んでいる場合、その人間はデジタル人類である確率が非常に高い。
その人が同僚であっても顧客であっても、真に何を成し遂げようとしているかに耳を傾けることで、あなたも変革者の一員になれるかも知れないのだ。
- 林大介(ウフル 執行役員)
- 電機メーカーのエンジニア、通信システムインテグレーターのセールスを経てコンサルティングの道へ。ネットワーク、モバイルを中心とし た戦略立案、新規事業開拓、テクニカルアドバイザリーを中心としたプロジェクトを多数実施。昨今はクラウド、M2M、IoT/IoE などの技術トレンドを背景にしたデジタル戦略策定、IoT/IoE新規事業創造、ワークスタイル変革に注力し、各種戦略策定、変革実行支援などを手がける。