透過的にトラフィックを処理する「SORACOM Junction」
SORACOM上でIoTデバイス機器がやり取りするパケットに対してさまざまな処理を適用できるサービス「SORACOM Junction」(Junction)の提供も7月5日から開始した。
最高技術責任者 安川健太氏
Junctionは、SORACOMのコアネットワーク上のパケット交換機能を有するVirtual Private Gateway (VPG)を通るパケットに対して、「インスペクション(検査)」「ミラーリング(複製)」「リダイレクション(転送)」の3つの機能を提供するサービス。これらを使えばトラフィックの可視化、セキュリティの強化、トラフィックの制御などを実現できるとした。
インスペクション機能では、VPGを通過するパケットを解析し、アプリケーションの判別や、その統計情報のレポーティングを提供する。この機能で取得したパケットの統計情報を利用することで例えば、IoTデバイスの通信先の可視化や、アクセス先の分析、パケットの統計情報は顧客の指定した宛先に送信することが可能という。
「ユーザーの意見を反映し、顧客が自分のデバイスの通信だけを自由に監視・制御できる仕組みは作れないかと考え、サービス化した」(最高技術責任者 安川健太氏)
省電力広域通信技術Sigfoxに対応
KCCS 代表取締役社⻑ ⿊瀬善仁氏
SORACOMが低消費電力広域(Low Power Wide Area:LPWA)技術の通信規格「Sigfox」に対応し、これを提供する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)と提携することも発表された。
SigfoxはIoT向けの通信規格で、低価格・省電力・長距離伝送が特長。既に欧米を中心に32カ国で展開しており、2018年までに60カ国を予定している。「SigfoxはLPWAを代表するグローバルな通信規格」(KCCS 代表取締役社⻑ ⿊瀬善仁氏)
KCCSは国内唯一のSigfoxオペレーターであり、この2月からサービスを開始し、順次エリアを拡大しており、2018年3月までに全国主要都市、2020年3月までに全国へ展開する計画とした。
「あらゆるクラウドと無線をセキュアにつなぐ世界」へ
ソラコムが目指すのは、「あらゆるクラウドと無線をセキュアにつなぐ世界(Wireless Agnostics, Cloud Agnostics)」という。今回提供したサービスもこの考えに基づいたものである。
”無線”の面ではSigfoxとの連携以外にも、移動体通信のネットワークがつながらないケースを想定してスカパーJSATと衛星回線を利用した実証実験を実施。さらに100キロ以上の遠距離通信や時速100キロの高速移動中での通信が可能なソニーのLPWAで実証実験も展開したことも発表した。
他のクラウドとの連携という意味では、5月に公開したクラウド連携をサポートするアダプタサービス「SORACOM Funnel」でパートナーのIoT基盤サービスとの連携を可能にしていた。
この日さらにインフォテリアのモバイルアプリ開発基盤「Platio」やブレインズテクノロジーのデータ分析基盤「Impulse」などソラコムパートナーが提供するSaaSとも新たに連携したと説明した。
玉川氏は「ソラコムはプラットフォームに徹する」とアピール。今後の方針として、運用コストを下げながら低価格による還元を目指すほか、さらなるグローバル展開や、パートナー拡大などエコシステムの拡充を目指すとして講演を締めくくった。
「あらゆるクラウドと無線をセキュアにつなぐ世界」