同社のデータセンター事業が成長する可能性が高い理由は、いくつかある。
データセンター事業に特化した営業。LenovoがIBMのx86サーバ事業を買収した際、同社は集中型の営業アプローチを取ろうとした。この手法では、データセンター事業が必要としていた注目を集めることができず、売上の多くはPCに流れていた。今回Skaugen氏は、データセンター事業専門の営業チームを組織した。HPEによるH3Cとの中国でのジョイントベンチャーに関する動きや、DellによるEMC買収などの動きの影響で、人材はすぐに集まったという。求人市場では現在、経験を積んだエンタープライズ営業人材が獲得しやすい状況にある。「わが社は、顧客と製品の定義に関して、従来よりも細かいやりとりができるようになっている」とSkaugen氏は言う。「今はまず、顧客が実際に何を必要としているかを知ることから始めている」
機動性。Lenovoは大きな企業だが、データセンター事業に関してはHPEやDell Technologiesよりも小さい。Skaugen氏は、Lenovoが提供するメニューはシンプルであり、営業や製品の選択を素早く行うことができると主張している。
規模の経済。Lenovoは自社製の部品を持っており、マザーボードも製造しているため、規模の経済を生かすことができる。製造に関してコントロールが利くということは、契約によって社外から部品を調達しているメーカーよりも、価格面で有利に競争できることを意味している。「Lenovoは薄利多売を恐れていない」とSkaugen氏は言う。「わが社はあらゆる大規模顧客に対して、エンジニアリングに関して緊密に協力しながら製品を供給している」
製品の統合。LenovoはIBMの資産と自社の製品を統合できるようになった。同社はこれまでも、中国国内でサーバやネットワーク機器を販売していた。「ThinkAgile」のシステムは、Lenovoが従来から持っていたハードウェアと、ネットワークOSや管理ツールを統合したものだ。また、Nutanixのソフトウェアが使用されている。
弱点を補う能力。Skaugen氏は、Lenovoのデータセンター事業グループは、パートナーシップの締結やM&Aを模索していくと述べている。「わが社は今後ソフトウェアの買収を模索していく。世界的な潮流はソフトウェア定義ソリューションに向かっているが、わが社はパートナーと競争するつもりはない」とSkaugen氏は述べ、LenovoにはM&Aやパートナーシップに関して、幅広い選択肢があると説明した。「多くの企業がLenovoにアプローチしてきている。わが社は(競合他社と比べて)脅威のレベルが低いため、ジョイントベンチャーやM&Aの可能性が広くなっている」
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)。Lenovoはスーパーコンピューティング分野のトップを目指しており、米国と中国がこの分野で主導権を争う中で、有力なサプライヤーになろうとしている。Skaugen氏によれば、スーパーコンピュータはコンセプトカーのようなものであり、そこで試したテクノロジを、エンタープライズ市場に持ち込むことができるという。それに加え、HPCへの取り組みは人材維持にも役立つ。「HPCへの投資によって離職率が1%下がれば、それだけでも価値がある」とSkaugen氏は言う。「従業員のプライドを保つということだけでも、スーパーコンピューティングに対する投資を正当化できる。がん研究の問題を解決し、人の命を救えるテクノロジに関する仕事をすることには意義がある。それはブランドにとっても従業員にとってもよいことだし、正しいことだ」(Skaugen氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。