空き家をサテライトオフィスにした鯖江市--人口増に転じ地方創生の成功例に - (page 3)

大河原克行 2017年07月18日 11時11分

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 鯖江市のお試しサテライトオフィスに関しては、参加企業にヒアリングを行い、7つのメソッドをベースにして最適なハードウェアを貸与することを目指したという。

 「クリエイティブ系の企業の場合、スタイリッシュ性を持ったワークステーションが最適だが、対象となった企業が、本社で利用しているPCがノートPCであり、ワークステーションの環境では差が生まれると考え、いつも利用しているノートPCと同等の性能を実現するデスクトップPCを用意した。東京の本社とコラボレーションするための大画面モニタや、クリエイティブな作業に最適化した4Kモニタ、省スペースのPC、Windows Helloによってセキュリティを強化した環境を提供し、最新ハードウェアによる最適化した働き方改革を提案するものになった」という。

 デルでは、2016年2月に、地域活性化の支援を目的に、鯖江市にノートPCやタブレットなどを提供。鯖江市役所のIT会議室や街なか休憩所の「らてんぽ」などの4カ所を結んでNPOやコミュニティが利用できる環境を整備した経緯がある。こうした結びつきも、今回のお試しサテライトオフィスでの支援につながっているという。

 「他の自治体に比べて鯖江市での取り組みが進んでいるのは、市長の強いリーダーシップとともに、職員が、明るく、情熱を持って取り組んでいる点にある」(デルの山田常務執行役員)とした。

 今回の鯖江市お試しサテライトオフィスモニターツアーにあわせて、お試しサテライトオフィスを4日間に渡って利用しているLIFULLグループのLIFULL Marketing Partnersでは、2人のテザイナーが山間部オフィスで仕事をした。

 LIFULL Marketing Partnersの数野敏男社長は、「お試しサテライトオフィスの活用は、ウェブサイトの制作やデザインといったクリエイティブ業務の地方拠点展開と、地域の子育て世代の女性の就労の2つの狙いがある」と語る。


LIFULL Marketing Partnersの数野敏男社長

 LIFULLグループでは、不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」を運営しており、子会社のLIFULL Marketing Partnersは不動産会社へのコンサルティングやマーケティング支援などを行う。

 「クリエイティブ業務では、集中できる環境で仕事ができるというメリットがある。山間部オフィスで籠もって仕事をするという選択肢だけでなく、市街部オフィスで地元企業と連動しながら仕事をするといった選択肢も考えられる。当社の場合には、市街部オフィスの選択の方で適していると考えている」とする。

 お試しサテライトオフィスの活用によって、外注費の削減やオフィスコストの削減などにもつながるとしており、LIFULL Marketing Partnersの子会社であるSUI Productsの定野秀記社長は、「外注費の削減などにより、1人あたり年間80~100万円のコスト削減効果が見込まれる」とする。

 また、不動産情報を取り扱うLIFULLグループにとっては、空き家情報の可視化や空き家の有効活用なども取り組むべきテーマの1つといえ、今回のお試しサテライトオフィスの活用を通じて、空き家の有効活用についても模索し、そのノウハウを横展開していく狙いもあるという。

 「LIFULLグループでは、地域創生に関する取り組みも進めており、その一環として、地域の活性化にも貢献できると考えている。また、地方の空き家を、民泊や古民家カフェといった活用とともに、サテライトオフィスも活用手段になると考えており、鯖江市でのノウハウを他の地域にも展開していきたい」(LIFULL Marketing Partnersの数野社長)とする。

 また、地方の優秀な人材も採用できるといったメリットもあるという。

 「地元で働きたいデザイナーや、将来は東京で仕事をしたいと考えている若いデザイナーも採用したい。また、福井県は共働きの比率が最も高い県ではあるが、就労環境の改善の余地があると考えており、子育て世代の女性の雇用や働く環境の改善などにも取り組みたい」とする。

 同社では、お試しサテライトオフィスの活用期間中には、働く主婦などへのヒアリングを通じて、地元での女性雇用の可能性なども探るという。

 もともと鯖江市とは、ヤフーと鯖江市が実施したリユース品のオークションである「サバオク」にも協力したというつながりもあり、LIFULLグループでは鯖江市でのサテライトオフィスの展開を前向きに検討してきた経緯がある。

 LIFULL Marketing Partnersでは、2017年秋にも、鯖江市でのサテライトオフィスを本格的に稼働させる考えであり、2018年度には、地元での採用を含めて、クリエイティブ業務で約10人、子育て世代の女性の雇用で約10人の合計20人体制に拡大する予定だという。

 鯖江市のサテライトオフィスの取り組みは、地方の活性化に向けた新たな取り組みの1つになりそうだ。

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