理化学機器商社のアズワン(大阪市)は、全社仮想デスクトップ基盤(VDI)をハイパーコンバージドインフラ「Cisco HyperFlex」で構築した。初期構築を担当したネットワールドが7月6日に発表した。
科学機器や産業機器、医療介護の3分野で卸売事業を展開するアズワンは、約2800社に上る調達先とロジスティクス体制、全国約1万拠点の販売網で実験研究用機器や計測機器、各種消耗品、医療介護用品などの商品を供給している。
同社は、東京と大阪の拠点を中心に営業担当者約40人を対象とするVDIの検証をスタートさせていたが、その後、全社員分の端末の全面VDI化を決定した。第1弾として、営業担当者約100人と社内業務従事者150人、合計250人分の環境を移行することになった。
従来のVDI検証環境は、社内で稼働中のブレードサーバの一部領域を利用していたが、同時接続台数が増えるとレスポンスが低下すること、また、その環境で全社VDI化に対応して拡張するには相当の手間と時間がかかることが判明し、新しいVDIとしてハイパーコンバージド製品を検討開始していた。
今回のHyperFlexは、スイッチ「Cisco UCS 6248UP Fabric Interconnect」、「Cisco UCS C220M4」をベースとするラックマウントサーバ「HX220c」を採用。3ノード構成で構築している。

導入構成イメージ(ネットワールド提供)
従来型の製品ではインフラ部分の初期構築だけで約2週間かかるが、今回のプロジェクトでは、ネットワールドによる初期構築から、システムの構築、サポートを担当する富士通ネットワークソリューションズ(FNETS)への引き渡しまでを1日で完了した。これにより、ハイパーバイザ層以上の構築や旧環境からの移行を余裕を持って進められたという。アズワンは今後、サーバ用の基盤としてもHyperFlexの活用を検討していく考え。
新しい環境では、ノードを容易に増設できることから今後の拡張ニーズにも柔軟に対応できると説明。以前から「VMware vCenter」を利用しているため、別の管理ツールを使わず、運用管理もシンプル化できた。ハードウェア監視やCisco UCSのサービスプロファイル管理などを担う「Cisco UCS Manager」も一体的に利用できるので、大規模VDI環境を効率的に運用可能。
今後、同社では、今回の250台に加えて、残りの約250台も2017年度中にHyperFlexへ移行する計画だ。HyperFlexには、各サーバ搭載のSSD/HDDを仮想的なプールとして利用する「SpringPath」、インライン圧縮や重複排除の機能が搭載されているため、全社展開時にも性能や信頼性に不安はないという。