海外コメンタリー

“不可能なことはない”メイカー精神で職場を変えよう--まずは3Dプリンタ1台から

David Gewirtz (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-07-11 06:30

 静かな場所で、1人で物思いにふけっていると、今とは少し違う明るい未来のイメージが浮かぶことがある。その未来はわれわれの手と、想像力と、そして予備の部品が少しあれば作ることができる。

 メイカームーブメントのコミュニティーは、刺激的なことをしている人たちで満ちている。多くの人は趣味としてものづくりをしているが、この取り組みは企業の世界でも極めて有効に働く可能性がある。

 ものづくりは新たな道を切り開くことができる。また、新たな分野を開拓し、顧客と新たな形で結びつき、新たなチャンスやイノベーションの分野を発見し、企業に新しい競争力をもたらすことができる。その上、ものづくりはクールだ。

メイカームーブメントの黄金時代

 「メイカー」を正確に定義することは難しいが、多くのメイカーは、新しいアイデアを思いつき、それを実際に作ってみせる人たちだ。誰かの許可を求めることなどせず、とにかくやってみることが、そのプロセスの鍵になっている。

 今がものづくりの黄金時代だと言うべき理由はいくつもあるが、そのすべてをここで説明することは難しい。その理由の多くは、人に力を与えるもので、個人的で、人の心にとって大切なものだ。この創造性の高まりは、この20年間ほどで初めて可能になった3つの現実的な要因によって後押しされている。その3つとは、知識へのアクセス、資源へのアクセス、そして新たなものづくりの手段だ。ここでは、これらの要因について1つずつ議論していこう。

知識へのアクセス

 創造性やイノベーション、問題解決、そして変革は、もはや特定の職能集団やプロフェッショナルだけに許されたものではない。誰でも新しいアイデアを発想し、それを実現することができる。

 歴史的に、特定の技術やプロセスに関する知識を持つ人間と、それを実行したい人間との間には、争いが起こることが多かった。また秘密を保つことは、競争する上で有利だと考えられてきた。しかし、人々が閉鎖的な町や野営地、コミュニティーなどを離れて移動するようになると、状況に変化が生じた。これは特に初期の米国で顕著だった。

 米国の開拓者たちは、自分の力だけを頼りに西部に向かった。彼らは自分で家を建てなければならず、直面した問題は自分たちで解決し、イノベーションを起こすしかなかった。さもなければ死が待っていた。知識が大衆の手に渡らないように守っていた職能集団も存在したが、当時は多くの人々がまったくインフラのない場所に住んでいた。これらの人々が、正式な訓練を受けることなく、必要に迫られて自分たちの手でイノベーションを起こすことも多かった。

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