アートとテクノロジ融合の歴史--「アイコン」を生み出した日本人とiPhoneの関係 - (page 3)

増村岳史

2017-07-17 07:00

芸術思考とは

 デザインと芸術の違いを述べたが、次に「芸術思考」を紹介する。

 こちらの芸術思考は明治大学サービス創新研究所にて、所長であり明治大学教授の阪井和男、研究所所属で東北芸術工科大学講師の有賀三夏、そして客員研究員の秋山ゆかりの三氏で研究する新たな領域だ

 現在、企業活動の至るところにおいてイノベーションが求められている。

 イノベーションとは今までの社会や常識が変わるような全く新しい技術やアイデアによって、世の中に新たな変革をもたらすことである。


 EdisonやSteve Jobsはまさにイノベーターつまり創造的な破壊者であった。

 しかしながら、創造力は彼ら偉大なイノベーターのみが持つものではない。

 そもそも人は誰しもが創造力を持っており、芸術的な行為や活動をすることによって自分の中の眠っている創造性が引き出される。

 この「創造(構想)を実現化する過程の思考プロセス」を意味するものこそが芸術思考であるのだ。

 米国のミシガン州立大学の調査研究によると、会社を経営したり特許を持っていたりする人は、14歳ぐらいまでに音楽や絵画などの芸術に触れていた確率が平均程な米国人よりも8倍以上高かったというのである(ミシガン州立大学による研究での調査の対象は大学の優等コースで科学・技術・工学・数学を専攻し1990~1995年に卒業したグループ)。

 こちらはほんの一例に過ぎないが、芸術活動によって、誰もが持つ創造力が引き出され、新たなイノベーションの芽が育まれるのではないだろうか。

 つまり芸術思考とは、ゼロからイチを生み出すための思考プロセスである。

 芸術思考とは、未来を開拓する新たな思考だと言える。

増村岳史
学習院大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。マーケティング、営業を経て映画、音楽の製作および出版事業を経験。リクルート退社後、音楽配信事業に携わったのち、テレビ局や出版社とのコンテンツ事業の共同開発に従事する。2015年アートと人々との間の垣根を越えるべく誰もが驚異的に短期間で絵が描けるART&LOGIC(アートアンドロジック)を立ち上げ現在に至る。

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