調査によれば、現在の最高情報責任者(CIO)が置かれている環境はこれまでより改善されているが、一部のCIOは、雇用市場の状況がめまぐるしく変わっているのを利用して、新たなチャンスをつかんでいる。それらのCIOの新たなキャリアはどんなものだろうか?この記事では、一般的なCIOから異なるキャリアに進んだ4人の元CIOに話を聞いた。
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Ian Cohen氏は、保険会社Jardine Lloyd ThompsonのグループCIOの職を2014年末に退いた。同氏はそれまで、Associated Newspapers、Financial Times、Lloyds BankでIT部門の責任者を務めてきたが、CIOとしての新たな仕事を探すのをやめて、この機会にまったく新たな道に進むことを決めた。
Cohen氏は現在、一流企業がその企業独自のデジタルジャーニーを発展させるのを支援するデジタル化アドバイザーを務めるのと同時に、ロンドンの何社かの有望なスタートアップや高成長企業で、非業務執行取締役や取締役会顧問を務めている。
「私は保険業界を離れた。そこでは、周囲から破壊的改革者であると思われていた。そしてショーディッチやロンドンのほかの地域にある、本物の破壊的企業と一緒に働くことを選んだ」と同氏は述べている。「私は休みたいとは思わなかった。これは私にとって、メディア業界で経験したよりも、さらに変化のペースが速い環境に戻れる素晴らしいチャンスであり、変化の速いコミュニティの現場で働く経験が得られるチャンスでもあった」
Cohen氏は、チャンスさえあれば、CIOは新しいことへの挑戦を楽しめるはずだと述べている。ただし、IT部門の責任者が会社を離れることは、その人材を失う会社にとっては悪いニュースだ。Cohen氏は、企業は上級幹部に対して、在職中に新しい試みをするチャンスを与えるべきだと述べている。
「そのことで有能な人材の離職を防げるとは限らないが、その可能性はある」と同氏は言う。「また、人材が会社を辞めるとしても、それはよいことであるはずだ。それは、すでに活気のあるコミュニティに優れた人材が加わり、さらに豊かになることを意味するのだから。コミュニティに優れた人材が増えれば、最後には全員にメリットがある」
キャリアのポートフォリオを作る
一部の先進的な考え方の組織は、すでに経験豊富なITリーダーに新しい試みをする余地を与えている。例えば、まったく新しい働き方のモデルを作りつつあるMark Foulsham氏が、これに当てはまる。IT部門の領域を超えて、esureのグループCIOとして業務執行にも関わっていたFoulsham氏は、同社に勤務し始めてから10年あまり経った2016年末に、新たな挑戦を始めた。同氏は現在、自らのキャリアのポートフォリオに、Scopeの最高デジタル責任者を付け加えている。
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