Colemanのユーザーインターフェース(UI)は、米Amazon.comの音声認識アシスタントである「Alexa」が担っている。CloudSuiteは基盤にAmazon Web Services(AWS)を採用しており、技術基盤とUIがシームレスに連携できるメリットは大きいという。
自動化では、データ検索や収集といった従業員のルーチン作業を自動化する。同社では労働作業の20%はこうした作業が占めるとしており、Colemanの導入で生産性が向上し、従業員はより付加価値の高い業務に時間を割けるとしている。
説明に登壇した米Inforでプレジデントを務めるDuncan Angove氏は、「かねてからAIは存在したが、やっとコンピューティング性能がAIをビジネスで活用できるまでに追いついた。ネットワーク帯域の拡大でクラウドも普及している。(顧客企業による)Colemanの活用が増えるほど、Colemanは賢くなっていく。こうした潮流は、今後も加速する」と力説する。
Inforのプラットフォーム戦略
「Coleman」という名前は、米国初の有人宇宙飛行計画である「マーキュリー計画」の達成に貢献した物理学者で数学者のKatherine Coleman Goble Johnson氏に由来する。アフリカ系アメリカ人女性だったJohnson氏は、人種の分離政策が行われていた1950~1960年代に米国の宇宙開発に大きく貢献した人物だ。2015年に米大統領自由勲章を受賞したことは、日本でも報じられた(映画化され、邦題『ドリーム』として9月から公開される)。
初日の基調講演にはJohnson氏の家族も参加。Phillips氏から名前の由来とともに紹介されると、会場からはスタンディングオベーションが起こった
BIを技術統合し包括的に分析
また、今回のカンファレンスでは、5月に同社が買収したクラウドベースのビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォームである「Birst」の技術的な統合についても明かにされた。Birstを分析プラットフォームとして組み込み、CloudSuiteで統合的にデータ分析ができるようにしていく。
ETL(データの抽出、変換、ロード)からダッシュボードまでの分析システムを有するBirstは、「Docker」コンテナベースとなっており、ソーシャルコラボレーションプラットフォームの「Infor Ming.le」や5000超のAPIを提供する「Infor ION API」とも連携していくという。
Birstの統合(概念図)
Phillips氏は「BIは企業のデジタルトランスフォーメーションに大きく貢献する。ただし、大規模環境での分析はレガシーであり、エッジコンピューティングで実行する分析は企業向けではない。マイクロバーティカルな情報は、単なるBIベンダーは持ち合わせていない。Inforは業界に特化したデータを包括的に分析できるBIを有し、クラウドベースで提供していく。ここがわれわれの最大の強みだ」とその優位性を強調した。
会場となったJacob K.Javits Convention Center