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日本株展望

原油低迷--OPEC減産効果小、米シェール増産

ZDNet Japan Staff

2017-07-19 10:36

今日のポイント

  1. 最近、原油価格が下がったのに2つ理由がある。OPEC減産の実効性が低下したこと。もう1つは、米シェールオイルの生産コストが低下し、再び、増産に転じていること
  2. 原油価格が1バレル40~50ドルで推移すれば、日本の企業業績にプラス寄与する。4~6月決算では、素材・市況産業が好調と予想される

 これら2点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

原油先物の上値が重くなってきた理由

 日経平均は、しばらく2万円前後の膠着が続くと考えている。今日は、原油価格の低迷が続いている理由を解説する。

 最近、WTI原油先物(期近)の上値が重くなっている。OPEC(石油輸出国機構)が今年1月から原油減産を実施していることを好感し、WTI原油先物は2月に一時1バレル54ドルまで上昇したが、その後下落に転じ、足元は1バレル46ドル前後で推移している。

WTI原油先物(期近)の動き:2014年1月2日~2017年7月18日


出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定

 最近、原油価格が下がってきたのには、2つ理由がある。中東の減産の実効性が低下したことと、米シェールオイルが増産に転じたことである。それでは、ここで過去4年の原油価格の動きを簡単に振り返ってみよう。

 原油価格は、世界の原油需給のバランス変化によって起きている。需要は年々安定して増加しているが、2014年以降、供給が需要を上回るペースで拡大するようになったため、原油価格は大きく下落した。

(1)2014年に原油価格が急落

 2013年まで原油の世界需給は、日量50万バレルの需要過剰だったが、2014年に日量90万バレルの供給過剰になったため、原油価格は急落した。米国でシェールオイルの生産が拡大したことが、供給過剰を招いた。

(2)2015年後半に原油価格が再び急落

 2014年の原油急落で、米国のシェール油田でコスト割れが増えた。2015年前半は、シェールオイルの生産が減る思惑から、原油が反発した。しかし、15年後半は中東原油が増産され、供給過剰が日量200万バレルまで拡大したために、原油価格が再び急落した。高コストの米シェール油田は廃業に追い込まれたものの、低コストのシェール油田が増産したために、シェールオイルの生産はあまり減らなかった。

(3)2016年に原油価格が反発

 米シェールオイルの生産がようやく減り始めたこと、OPECが減産に向けて話し合いを始めたこと、世界需要が順調に拡大したことを受け、原油需給が徐々に改善に向かい、原油価格が反発した。11月にOPECが減産で合意すると上昇に弾みがついた。

(4)2017年、再び原油価格はじりじりと低下

 原油を増産したいのに我慢している国が世界中にあることから、原油の上値は重くなってきた。1月から開始されたOPEC減産の合意は守られているが、その実効性が低下している。減産の対象外とされたリビアとナイジェリアが予想以上に増産したためだ。また、米国で生産コストが下がってきたシェールオイルが再び増産に転じ、原油需給を悪化させている。

日本への影響

 日本は、長い目で見れば、資源安の恩恵を受ける国だが、短期的には、原油急落で大きなダメージを受けた。2016年前半の企業業績は、資源安の影響で大きく下ぶれした。資源権益の減損、資源の高値在庫の評価損に加え、資源国でのビジネス悪化が、下ぶれ要因となった。

 世界全体の景気にとっても同じだった。2016年前半は原油急落が、産油国の景気を悪化させただけでなく、原油の輸入国である米国・欧州・中国も、逆原油ショックでダメージを受けた。

 2016年後半以降、原油が反発していることは、世界経済にとっても、世界の株式市場にとってもプラスに働いている。日本の企業業績も、原油価格の反発により、改善している。

 原油価格が上昇し過ぎると、コストアップによるマイナスが日本経済に及ぶが、原油価格が上がり過ぎることもなく、下がり過ぎることもなく推移している今は、日本の景気・企業業績に好影響を与えると考えられる。これから、2017年4~6月期の決算が発表されるが、素材・市況関連株の業績は好調が見込まれる。

 ただし、米国自動車販売の減少で、自動車セクターの業績は不振が予想される。日経平均が、膠着を抜け出すことができるか、不透明な状況が続きそうだ。

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