Maluubaの機械読み取り理解(MRC)システムは、400ページの自動車の説明書を読み込ませ、その理解に基づいてリアルタイムでユーザーの質問に答えることができる。
Research Faculty Summitの広報用に公開されたChannel 9の動画によれば、「この製品の長期的な狙いは、MRC技術を自動車、家電など、あらゆる種類の説明書に適用することだ」という。
2016年、Microsoftはマシンリーディングに関する取り組みの一環として、質問と答えの組み合わせ1万件のデータベースを無料で公開した。このデータベースは「MARCO」(Machine Reading Comprehensionの略)と呼ばれている。この種の巨大なデータセットは、機械学習には欠かせないものだ。
Microsoftは、製品にエキスパート支援機能を持たせるというコンセプトをより完成に近づけるための手段として、マシンリーディングに期待しているように見える。
同社はすでに「Windows」などの製品に「Cortana」を組み込んでいるが、さらに個人用のビジネスアシスタントのようなものを目指しているといううわさが絶えない。実現するとすれば、「Bing Assistant」やコンシェルジェボットのような形になるのかもしれない。
2017年に公開されたGeekWireのインタビュー記事では、Microsoftの創業者Bill Gates氏が、同社の今後の製品やサービスにとってのテキスト読み取り技術の重要性に言及している。
「コミュニケーションについて考えるときには、情報を時系列で見るだけではなく、ユーザー自身や、文脈や、優先順位についても理解してコミュニケーションを行えるようになるべきだ。だがそれは、テキストを読めさえすれば可能になるかというと、そうではない。つまり、Rajesh Jha氏(Office部門の責任者)やHarry Shum氏(MicrosoftのAI+Researchグループの責任者)、そしてNadella氏が率いる多くの重要な人材の前には、大きなフロンティアが広がっており、Microsoftはそのチャンスに向けてリソースを振り向けている」とGates氏は述べている。
Faculty Research Summitで行われた発表によれば、マシンリーディングの最大のハードルは、機械の読み込みに常識の要素を組み込むことだという。マルチモーダルである人間は、暗黙のうちにテキストに内在する情報をフィルタリングしたり、理解したりする方法をいろいろと持っている、と研究者らは述べている。
そのための研究が続いている間も、Microsoftではマシンリーディングに関する次の取り組みが進められているはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。