米HubSpotは、マーケティングプラットフォームを提供する。クラウド型のインバウンドマーケティング基盤として、電子メール、ウェブサイト、ランディングページ、検索エンジン最適化(SEO)など、さらにソーシャルメディアを含めたコンテンツまで単一プラットフォームで管理するソフトウェアを提供する。
「生活や仕事、買い物、買い方の変化にもかかわらず、企業のマーケティング活動は変化していないことに気づいた」ことから、最高経営責任者(CEO)で共同設立者のBrian Halligan氏などが2006年に創業したという。当時、ベンチャーキャピタルで活動していた折「マーケティング手法が根本的に変化することを確信していた」とHalligan氏は話している。
今年1月から、日本市場を新たにリードすることになったのは、HubSpot Japanのジェネラルマネージャー、Ryan Meadows氏。半年ほどが経ち「インバウンドマーケティングにやりがいを持つ社員を採用できている」と手ごたえを話す。日本では、業種を問わず10~500人の企業を中心に訴求していくという。
HubSpot Japanのジェネラルマネージャー、Ryan Meadows氏
SEOなどの話題を記す自社ブログへの流入が順調に伸びているという。こうした取り組みを通じて、HubSpotのユーザーに向け、オウンドメディア、アーンドメディアへの取り組みを支援していきたいと話す。
「これまではサーチエンジンが中心だったデジタルマーケティングだが、この先はどうなるのか。ソーシャルメディアやビデオを用いたものなどが新たに誕生してくる」(Meadows氏)
顧客が足りていない
日本市場の特徴について「マーケティングオートメーションを導入するにあたり、リード獲得の自動化が必要になる」と同氏。日本企業の多くが、「見込み顧客が足りていない」という課題を持ち、集客をあまり考えていないように見えるとする。
「日本企業は既存顧客を大事にし、米国企業は新規顧客の開拓に注力する。それが日米の違い」とのこと。日本企業はマーケティング業務を代理店などにアウトソースしているケースが多く、マーケティング部門の存在が米国ほど一般化していないことに原因があると指摘している。
こうした背景を踏まえ、HubSpotは、フリー版のCRMの、SFAツール、さらにGmailのプラグインとなるメール型のマーケティングツール「Sales Pro」(月額50ドルから)を日本でも近日中に提供し、企業がマーケティング施策を自社に取り込めるよう働き掛ける考えだ。
オウンドやアーンドを含めたウェブメディアでの情報発信を強化し、潜在顧客を含め広くリーチする一方で、新規開拓を強化しながら顧客との関係を強化していく――HubSpotは、それをマーケティングの勝ちパターンの1つと認識している。