コネクティッドカーに関するIT投資を非自動車ビジネスの展開に活用
自動車メーカー各社は、コネクティッドカーに代表される次世代自動車の開発で激しい競争を繰り広げている。しかし、ここまでの谷口氏の解説を聞いていると、そこでの勝者になる条件は、膨大なビッグデータを迅速に処理して、快適なサービスを実現する能力があるかどうかにかかっているといえるだろう。
コネクティッドカーに関するIT投資は、莫大なものになる可能性が高い。また、データ管理や分散処理基盤関連、5G(第5世代移動通信システム)など新しい通信技術などへの研究開発投資も必要になる。
次世代スマートセンターに必要となる技術群
そこでトヨタでは、こうしたインフラを活用した新しいビジネスの展開を模索している。
「車両にかかわるビッグデータは、自動運転技術などの研究開発や、メンテナンスサービス、販売サービスといった従来の自動車ビジネスに活用していくことはもちろんだが、非自動車ビジネスの分野にも活用していき、新しいビジネスを創出するエンジンとしていくことも不可欠だ。コネクティッドカーで得られるデータと、パブリックデータを組み合わせて、新しい情報サービス事業を展開することも考えられるし、運転履歴と連動した新しい保険商品の開発や、スマートフォンと連携した新サービスの開発も有望だと思う」と谷口氏は語る。
コネクティッドカーに関するプラットフォームの全体像と今後のビジネスモデルの概要
また、谷口氏は、こうした新サービスを展開していくには、社外のサードパーティとの連携をいかに深めていくかが大切だと話す。
「トヨタでは、グローバルで展開する通信プラットフォームと連携したスマートセンターを構築、運営していくが、さらに、サービスを開発し提供していくプラットフォームを構築し、スマートセンターと連携する形をとっていく。この『モビリティサービスプラットフォーム』では、IT企業やカーシェアリング企業、保険会社、タクシー事業者はもちろん、官公庁、自治体などともオープンな協力関係を構築し、運営していく」