安全快適社会には、優れた「プラットフォーム戦略」が必要
トヨタのコネクティッドカーに関する谷口氏の説明は、次世代の安全快適社会には、優れた「プラットフォーム戦略」が欠かせないということを改めて気づかせてくれる。
AIやIoTを活用した公共性の高いサービスであっても、次々と従来のレベルを上回る新しい関連サービスを提供していかないと、需要を拡大してビジネスとして発展させることができない。国や自治体が仕切るものなら別だが、これらのサービスのほとんどは民間企業によって運営されるはずだ。そう考えると、柔軟でオープンなプラットフォームによって、さまざまな企業を呼び込み、多様なアイデアを実践することが必要になる。
ただし、自動車産業のような裾野の広い巨大な市場では、最初からグローバル市場を意識する必要もあり、プラットフォーム構築には研究開発費も含めて莫大な資金が必要になる。そのため、トヨタ以外の自動車メーカーが、コネクティッドカーのプラットフォームを、データセンターを含めてどのように構築していくのかも注目すべきテーマともいえるだろう。
その際、既存のIT企業はどのようにかかわっていくのだろうか。より少ない投資で高い処理能力を発揮するデータセンターの構築に協力することも重要だが、プラットフォームそのものの構築、運営を提案し、特定業界のイノベーションを促すことも期待できる。