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企業セキュリティの歩き方

「運用でカバー」という魔法の言葉--生まれた理由と功罪 - (page 3)

武田一城

2017-08-02 07:00

「運用でカバー」できなくなってきた現場

 しかし、「運用でカバー」の功績は既に過去のものと言える。同じようなことをベンダーが繰り返しているうちに、数多くの現場のエンジニアがこの世界を離れた。残ったのは、疲弊しきって荒野のようになった現場だ。Windows 95の発表やIT革命、ITバブルといったこの世界がもてはやされた時代は過去のものとなり、今ではすっかり「3K(きつい、帰れない、給料が安い)」などと、学生から敬遠されるようになってしまった。このことは、疲弊し荒廃した現場への大規模な人材の補充が難しくなったという現実を示している。

 このような状況に至っても、情報システムを動かす現場は「運用でカバー」という魔法によってこれまで通りの高いサービスレベルを要求される。しかし、そのためのリソースは質量とともに、以前とは比べ物にならないほど減少し、現場はどんどん空洞化している。日本の労働人口を見ても、団塊世代がリタイアしたこの10年で徐々に減少しており、以前のサービスレベルを維持することは容易ではない。「運用でカバー」という魔法の言葉は、この日本においても不可能になってしまった。これまでのような無邪気な状況を日本の経済環境が許すことはもはや、未来永劫(えいごう)ないであろう。

 今回は、情報システムをめぐる開発と運用管理の力関係や構造についてのみを記した。そろそろ本題のセキュリティ対策の話をしたいところだが、そこに行くにはもう少しだけ開発と運用の構造を理解しないと難しい。次回はこの関係をもっと掘り下げてみたい。

武田 一城(たけだ かずしろ)
株式会社ラック
1974年生まれ。システムプラットフォーム、セキュリティ分野の業界構造や仕組みに詳しいマーケティングのスペシャリスト。次世代型ファイアウォールほか、数多くの新事業の立ち上げを経験している。web/雑誌ほかの種媒体への執筆実績も多数あり。 NPO法人日本PostgreSQLユーザ会理事。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)のワーキンググループや情報処理推進機構(IPA)の委員会活動、各種シンポジウムや研究会、勉強会での講演なども精力的に活動している。

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