クラウドロックインとアナリティクスの関係--テラデータの戦略

渡邉利和 2017年07月26日 07時00分

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 テラデータは7月25日、同社の「エンタープライズ・ハイブリッド・クラウド戦略」に関する説明会を開催した。

 冒頭で挨拶した代表取締役社長の吉川幸彦氏は、同社が現在、「ビジネス・アナリティクス(Think Big Analytics)」「エコシステム・アーキテクチャ(Tradata UDA、アーキテクチャ・コンサルティング)」「ハイブリッド・クラウド(Tradata Everywhere)」の3つの戦略にフォーカスし、ユーザー企業からも高く評価されていると紹介した。

日本テラデータ
日本テラデータ 執行役員 Think Big アナリティクス・ビジネス・コンサルティング・プラクティスの森英人氏

 次いで登壇した執行役員 Think Bigアナリティクス・ビジネス・コンサルティング・プラクティスの森英人氏は、これらの戦略について詳しく説明した。

 森氏がまず強調したのは、同社が「アナリティクスにフォーカスした専業ベンダーである」という点だ。同時に「Teradataはユーザー企業の成功のために尽くす」とし、“製品を売ったら終わり”という姿勢ではないことを強調する。そして、こうした点が同社の掲げる「Teradata Everywhere」という戦略で、他社には実現困難な独自の価値を実現できる理由だとした。

 この「Teradata Everywhere」は、同社のソリューションにオープンなポータビリティを付与するというもので、プラットフォームを問わずどのような環境でも利用可能なソリューションにする取り組みとなる。この戦略を技術的に支えているのは、同社のソフトウェアが単一のソースコードで実装されている点だ。

 IBMのような総合ベンダーの場合、さまざまな顧客のニーズに応えるために、単一のソリューションで全てをカバーするというわけにはいかず、各種のバリエーションをそろえることになる。だが同社の場合は、プラットフォームごとに異なるソフトウェアを用意して対応する、というアプローチではないため、ユーザー企業がプラットフォームの変更を望んだ場合でも、移行が容易にできるという。

 また、同様のマルチプラットフォーム戦略を掲げるデータベースベンダーには、例えばOracleがあるが、森氏は「OracleはOLTPに特化したデータベースであり、アナリティクスではテラデータの方が優位」と主張する。こうした技術面での根拠に加え、新たに加えたサブスクリプションモデルによるライセンス体系も重要なポイントだという。特定のプラットフォーム向けのソフトウェアライセンスを購入するという形態ではないため、サブスクリプション契約を締結していれば、プラットフォームを移行してもライセンスをそのまま移行できるようになっている。

 同社は、こうしてオンプレミスでもクラウドでも、ソリューションを柔軟に活用できる環境を整えた上で、クラウドの活用事例として重視するのが、「試行錯誤を繰り返すような場合」だという。

 企業におけるビジネス・アナリティクスへの取り組みは、かつてのデータウェアハウスの時代から行われていたが、当時の手法は「ビジネスコンサルタントがユーザー企業の業務改善のための指標となるKPIを定義し、データエンジニアがデータを分析してKPIを導き出す」というやり方だった。これに対して現在は、新たなスタッフとして「データサイエンティスト」が加わる。ビジネスコンサルタントが考えたKPIをサンプルデータに基づいて検証し、期待通りの指標が得られるのか、別のデータが必要なのか、そもそも手持ちのデータでは有用な結果が得られないのかといったさまざまな角度からの検討を加え、「これで大丈夫」となった段階でデータエンジニアに作業が移るという形に変わっている。

 この場合、データサイエンティストによる検証作業には柔軟にスケールするコンピューティングリソースが使えることが有用であり、ここにクラウドがちょうど合致するわけだ。なお、この検証環境はうまくいけば本番環境としても活用可能なものとなっている。このため、例えばクラウド上で検証し、本番環境はオンプレミスで構築する、といった場合に、同社の「Teradata Everywhere」戦略を活用することで、環境を自由に移行できるというメリットを得られるという。

 さらに森氏は、既存のパブリッククラウド事業者と同社の違いについても言及した。現在では、主要なパブリッククラウドでそれぞれ独自のアナリティクス環境が提供されるようになってきているが、これらはいわば、クラウドのリソースを使い続けさせるための“ロックイン”手段として使われており、ユーザーが使い始めてしまった後で他のクラウド環境に移行することは困難になる。しかし、テラデータの場合はクラウドインフラを販売するわけではなく、どのクラウド環境でも活用できるオープンプラットフォーム戦略を採っていることから、移行の障壁は存在しないと強調した。

テラデータとクラウド事業者のアプローチの違い(出典:日本テラデータ)''
テラデータとクラウド事業者のアプローチの違い(出典:日本テラデータ)

 ビッグデータやIoTなど、大量のデータをリアルタイムに収集し、活用できる環境は整備されつつあるが、実際に生のデータから有用な知見を抽出するのは簡単ではない。同時に、エンタープライズシステムでもクラウドの利用が一般化しつつあるが、特定のクラウド事業者に依存してしまうリスクも指摘されている。テラデータのクラウド戦略は、現実的な形でクラウドを活用したアナリティクス環境を実現するための具体的な指針を示すもので、今後国内でも活用の拡大が期待される。

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