日本株展望

格安スマホと競争激化--NTTドコモの投資判断

ZDNet Japan Staff 2017年07月26日 10時18分

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今日のポイント

  1. 格安スマホとの競争激化でNTTドコモの収益が悪化する懸念から、ドコモ株が下落。増配と株価下落でドコモの配当利回りは3.9%まで上昇しており、投資価値は高いと判断
  2. ガラケーからスマホへの乗り換えが続いていること、PC経由のサービスがどんどんスマホ経由に切り替わりつつあることは、ドコモにとって追い風

 これら2点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

格安スマホ普及の影響でNTTドコモ(9437)の株価が下落、配当利回りは上昇

 最近、NTTドコモの株価が軟調だ。格安スマホが幅広く普及し、ドコモも対抗上、料金を引き下げざるを得なくなってきたことが嫌気されている。

NTTドコモの株価と配当利回りの推移:2015年1月4日~2017年7月25日


注:楽天証券経済研究所が作成

 ただし最近、配当利回りは逆に上昇している。7月25日時点で、予想配当利回りは3.9%まで上昇した。増配があったこと、株価が下がったことで、配当利回りは上昇した。上のグラフを見れば分かる通り、1株当たり配当金が変わらなければ、「株価が下がると配当利回りは上がり、株価が上がると配当利回りは下がる」【注】という関係がある。

【注】株価が下がると配当利回りは上がり、株価が上がると配当利回りは下がる

 1株当たりの配当金が変わらなければ、株価が下がってから買った方が、配当利回りは高くなる。たとえば、1株当たり配当金が年間40円で、株価が1000円の時に買えば、配当利回りは4%(40÷1000)だが、配当金が変わらず、株価が800円まで下がった時に買えば、配当利回りは5%(40÷800)と高くなる。逆に株価が1200円に上昇した時に買うと、配当利回りは3.33%(40÷1200)と低くなる。

 それでは、上のグラフを使って、2015年初来のドコモの株価の動きを説明する。グラフにつけた(1)~(4)の矢印についての説明は、以下の通り。

(1)2015年前半:ドコモ株が上昇

 ソフトバンクの顧客獲得力が落ち、ドコモの顧客獲得力が回復してきたことを好感し、株価上昇。

(2)2015年9月:ドコモ株が急落

 「安倍首相が総務省にケータイ料金の引き下げを指示した」と報道があったことが影響。ドコモ株は当分、買いにくいとのムードが広がった。

(3)2016年前半:ドコモ株が上昇

 総務省主導のケータイ料金の引き下げは、結局骨抜きになり、ドコモは業績好調だったので、株価が上昇した。月間利用の少ないユーザーに、これまでより低い料金が提示されるなど、一定の引き下げはあったが、抜本的な料金見直しにはつながらなかった。

 総務省は代わりに、新規加入者へのゼロ円ケータイの提供を禁止することに執念を燃やした。これは逆にケータイ3社の収益にプラスとなった。新規加入獲得のために、多大な販売促進費をかけなくて済むようになったからだ。もし総務省の指導でなく、3社が話し合ってゼロ円ケータイをやめるならば、これは「談合」として違法行為になる。

 ところが今回、総務省の強力な指導によって、堂々と3社で協調して、ケータイ販売奨励金を減らすことができた。

(4)2017年:ドコモ株が下落

 ゼロ円スマホ禁止で、これまで販売奨励金を使って販売されてきた高機能(高価格)スマホが売れにくくなった。代わって、格安スマホの販売が伸びるようになった。格安スマホには600社を超える事業者があるが、中でもソフトバンク傘下のワイモバイルと、KDDI傘下のUQモバイルが、積極的に契約数を拡大している。

 総務省によると、格安スマホの契約者数は今年3月末で1586万件で、携帯電話契約数の1割弱を占めるようになった。ドコモは格安スマホのブランドを持たないので、割引プランの拡大など対抗策を取らざるを得なくなっており、それが収益を圧迫し始めている。

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