この調査でForresterは、バーチャルエージェントや、小売店/倉庫のロボット、認知AIといった労働力の変革をけん引する12の重要な自動化カテゴリを洗い出し、評価している。われわれは、これら技術を具体的な成熟段階と、ビジネスにおける価値創造の可能性という観点から分析し、グループに分類した。以下では、その過程で浮き彫りとなった重要な点をかいつまんで紹介する。
アイデアの域を脱していると実証された5つの自動化技術がある。これらはすべてAmazon Web Services(AWS)やIBM、Microsoftといった企業によって取り組まれている。その1つである、複雑な問題を解決するAIソリューションは2021年までに485億ドル規模に成長するだろう。このカテゴリに属する例として、Goldman Sachsは2000年に600人の株式トレーダーを雇用していたが、現在では2人しか残っておらず、自動化された取引をサポートするために200人のコンピュータエンジニアを雇用したことが挙げられる。
AIソリューションよりも長い歴史を持つ自動化技術も再発明のタイミングをうかがっている。筆者が分析した技術のうち、3つはこのカテゴリに属する。例えば、産業用ロボットは1980年代から大々的に活用されてきているものの、現在の技術によって変ぼうを遂げ、人間との協調作業をうまくこなすようになってきている。
今回の調査で評価したAIとロボット工学の技術はまだ成熟しきっていないため、その取り扱いには注意が必要だ。ロボティックプロセスオートメーション(RPA)や、セルフサービス型のキオスクといった一部の自動化ソリューションは参考にできるだけの幅広い事例が存在するが、その他の応用分野では未来を開拓する先駆者になる必要があるだろう。しかし、今その一歩を踏み出しておくべきだ。というのも向こう5年間で、自社の労働力にロボットを導入できなかった企業は、導入した企業に後れを取ることになるためだ。
最後になるが、自動化技術は今後も労働力に影響を及ぼし続けるため、企業は戦略的計画を作り上げておく必要がある。手始めとして、企業は幅広いさまざまな自動化技術について、その成熟度に鑑みた用法を評価し、過去に配備したことのない技術(しかし他社に大きな影響を与えている技術)に取り組み、自動化を軸とした向こう5〜10年にわたる、労働力の戦略的なデジタル変革に向けた計画の立案に着手してほしい。
著者のJ.P. Gownder氏はForrester Researchのバイスプレジデント兼主席アナリストだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。