一方、調査対象者のパーソナルデータの提供経験や理解は8割超あるものの、不安感があると回答した人も8割を超える結果が出ている。パーソナルデータ提供の許容度も米・英・独・中・韓の各国利用者に比べて低い結果が出た。

パーソナルデータ提供時に企業が提供すべき情報
白書では、パーソナルデータ取得時に企業が個人に提供すべき情報について、「セキュリティの確保の方法」や、「個人がデータ使用を無効にする仕組み」など、個人と企業の認識ギャップが存在すると指摘しており、個人が安心してデータを提供する仕組みが足りない点を示唆している。
AIやビッグデータ、IoTなどを活用した「第4次産業革命」についても言及している。調査では「日本企業の第4次産業革命への取り組み」について、「検討段階」である企業が他国より多く、製造業への取り組みが米国やドイツなどに比べて遅れているとした。

白書では2030年までの成長シナリオとして、IoT・AIが経済に結びついた場合需要創出などもあり、2030年のGDPを132兆円押し上げ、GDPが725兆円になる可能性を示唆している。一方、この数値を達成するには、社内外での業務改革や海外投資、M&Aなどの「企業改革」が必須という。

第4章では、日本が抱える生産年齢の減少に伴う経済の縮小に対し、テレワークなど「働き方改革」や、海外から観光客を呼び込むといった、交流人口を増加させる「地方創生」への取り組みに、ICTが重要な役割を示すことを解説している。

人口減少社会の到来とその処方せん
このほか、第5章では「熊本地震の教訓とICT」をまとめている。
情報通信白書は8月下旬からiOSやAndroidのアプリとしても無料で配信され、全文を収録した電子書籍としても、Amazon「Kindle」など各電子書籍ストアで、無料で公開する。
さらに情報通信白書はオープンデータ化され、一部の図表や写真を除き、自由に複製・改変・頒布でき、商用利用を含む二次利用が可能としている。グラフデータはExcelやCSVで今後公開する。