東大による5万人参加の実証実験--「ライフスタイル認証」の可能性 - (page 2)

大西高弘 2017年07月27日 08時40分

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5万7000人が参加した「MITHRA Project」で得られたもの

 山口氏らのグループでは、ライフスタイル認証に関する実証実験「MITHRA Project(ミスラ・プロジェクト)」を1月から4月まで実施した。実験には、延べ5万7000人が参加し、同種の実験の中でも、世界でトップクラスの質と量のデータを収集できたという。データは、端末、電波(Wi-Fi)、位置、IPアドレス、運動履歴、マンガ閲覧履歴、血圧計、電子チラシ閲覧履歴など多岐にわたる。


実証実験の概要

 今回収集したWi-Fi個人認証データ100人分と従来データ47人分の本人確認精度を比較すると、明らかに向上しているという。

 「今回の実験では、スマートフォンの専用アプリで実験の目的や取得するデータについて説明し、同意の上でデータを取得しているが、住所など個人を明確に特定できる情報は入力してもらっていない。取得したデータをわれわれが開発したアルゴリズムで解析し、ユーザー個人の生活パターンをどこまで正確に把握できるかが実験の目的の1つとなっている」(山口氏)


ある参加者から得られた行動データ

 ちなみに研究室のメンバーにも参加してもらい、自宅やオフィスのおおよその所在地の推定を行ったところ、かなり正確に推定が当たっていたという。

ライフスタイル認証を推進する上での課題とは?

 ライフスタイル認証に対しては、今後も、さまざまな反応が出てくるだろう。スマートフォンやウェアブル端末などから得られる情報から、自分の生活パターンを誰かに把握されることに拒否反応を示すケースも考えられる。今回の講演では、そのあたりのことはあまり触れられなかったが、山口氏はさまざまなメディアを通じてライフスタイル認証とプライバシーの問題について発言している。

 実際、今回の講演では、実証実験で使うアプリの開発を担当したフェンリルのクリエイティブディレクター 三部 元氏が次のように述べている。

 「取得したデータを何に使うのか、ということは、参加者にとってとても気になるところ。シンプルな画面を使って分かりやすく説明することを心掛けた」


実験で開発されたアプリ画面

 今回取得したデータは、東大では保管せず、外部機関に厳重な形で預けていることからも、情報の扱いは慎重に行っていることが分かる。

 また一方で、行動パターンの正確な把握も重要だ。人はいつも同じところを行き来しているわけでもなく、明確な規則性にのっとって暮らしているわけでもない。ランダムな行動情報もある中から、認証に役立つデータを導くアルゴリズムの研究は今後も求められることになる。

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