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産学連携の新世紀

「産学連携」から「産学協創」へ--東京大学が目指す“エコシステム”の姿とは - (page 5)

飯田樹

2017-08-09 07:00

 われわれの産学協創推進本部は、2016年4月に「産学連携推進本部」から名前を変えました。

 理由は、単に連携して共同研究プロジェクトをつくるだけではイノベーションは起きないのではないかということ。

 さらに、社長をはじめイノベーションの担い手である事業部門長がコミットする形で協力して創造的な活動(協創)をしないと成果が出せないかという考えによるものです。

 また、会社にとってコアではない共同研究の成果については、「企業からその研究成果を外に出して、東京大学と一緒にベンチャー企業をやりませんかという」提案をしています。

 いわゆる、”カーブアウトベンチャー(エンタープライズなどが事業の一部を切り出し、社外事業として独立させること)”の提案も「協創」の新たな取り組みとして推進しようとしています。

--事業化をしないのに企業が共同研究をする理由は。


 企業の研究者にとっては大学研究者と一緒に研究するのは意味のあることなのだと思います。もちろん共同研究の結果、特許が出れば、それは企業研究者の業績となりボーナスの査定になることもあるので、研究者同士はハッピーなのでしょう。

 ただ、研究者が事業化を前提に共同研究をしているとは限らないことが多いのです。

 大企業は既存の事業と並行して、年間10億円規模の小さなビジネスではなかなか事業化を推進するということにはなりません。しかし、ビジネスは本当はそうした小さな売り上げからスタートして、可能性を広げる努力をしていかなければならないものです。

 研究者間のプロジェクトは予算も小さいことが多く、年間200万〜300万円程度だったりします。外資系の会社の中には共同研究を戦略的に行う会社もあり、研究予算も一桁二桁違うことがあるのです。

 そういうアグレッシブさが日本の企業に今後出てくるかが問題ですが、一部ではそういう積極性が日本企業にも見られるようになってきました。(<後編>に続く)

飯田樹(編集者/ライター)
国際基督教大学教養学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。西欧政治思想史、 現代政治理論を専攻。
株式会社マイナビにてニュースサイト「マイナビニュース」の編集記者、ウェブメディア運営企業などを経験。 各種媒体での取材・執筆・編集、冊子の編集、進行管理、校正、広報誌/広報サイトの編集、プレスリリース作成、 SNS運用などを手がける。分野は、働き方・キャリア、社会、マネー、教育など。

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