現在、サーバが処理するワークロードは多岐に渡っている。例えば、IoTなどにより、今までとは異なるレベルで大容量のデータが集まってくる。これを効率よく処理していく上で、サーバは重要な要素だ。また、大量のデータを処理するビッグデータ、大量のデータからサーバが学習して判断を下す人工知能や機械学習、ディープラーニングなどでもサーバは重要になっている。
例えば、健康分野では、個人の遺伝子データを見比べて、どのような病気にかかりやすいのか、どのような薬が最も効果を上げるのかといったことを、サーバが助言してくれる。画像認識と機械学習の機能を使えば、膨大な枚数のX線、CT、MR写真からガンの部位を特定してくれる。今までは人間が行っていたが、大病院などでは、膨大な数の写真から判断をするため、見落としも起こり得る。また、個人の力量によって、ガンを見落とす可能性もある。
そこで最初の振り分け時にAIを利用して、ある程度問題が疑われる写真を選び出し、その後医師がじっくりとチェックする。もちろんこのあたりは、ガンと判断する写真だけをどう選び出すか、問題ない写真をふるい分け、その後医師がどのようにチェックするのかなど、さまざまな方法が存在するが、サーバによって動作する人工知能がサポートしていくことになる。
人工知能は、どのような業界であっても、さまざまなビジネスに活用できるだろう。例えば、お客様センターに寄せられるクレームなどを集計して、製品に問題があるという注意をすぐ経営層に提起することもできる。人では、処理できないほどの膨大なデータから、トラブルを見つけることで、長期間放置した場合の巨額な賠償費用が発生するリスクなどを回避することもできる。
こういった意味からも、パワフルなサーバは、今後も必要だ。クラウドの登場により、ある程度のワークロードはクラウドに移行するが、全てがクラウドに移行し、社内にサーバが一つもなくなるということにはならないだろう。社内には、社外に出せないデータもあるし、蓄積している膨大なデータをさまざまに利用することで、データ間に相関性を見いだし、新たなビジネスに応用していける。
もう一つ重要なのが、「Software Defined Datacenter」(SDS)というコンセプトだ。
データセンターをコンピュート(CPUやメモリ)、ネットワーク、ストレージに再構成し、ネットワークやストレージに専用機器を使うのではなく、サーバがソフトウェア上で対応する。これにより、専用機器ではフレキシブルに対応できなかったネットワークやストレージの再構成がソフトウェアで簡単に行えることになる。このようなフレキシブルなデータセンターを構築するのがSDSだ。今後、データセンターがSDSに向かうにつれて、専用機器以上のパフォーマンスを持つプロセッサが必要になってくる。そのための基盤としてXeon Scalableが開発されたといえる。
今後サーバの用途は、オンプレミスだけでなく、クラウドやAIなどさまざまな分野で利用される
Xeon Scalableは、医療や産業など、さまざまな分野でも利用されてくる