AI活用の優位性は、先を見越した“プロアクティブ”な施策が打てることだ。これまでは発生したことに対して反応する“リアクティブ”な対策が主だった産業界で、早期対策によるリスク回避とコントロールができるようになる。
製造業が抱える課題の1つに、(サプライチェーン管理などの)事業プロセスの複雑化が挙げられる。これらを解決するためには、ボトルネックになるプロセスを事前に察知してアラートを発すること。そうした対策の立案にAIは不可欠となるだろう。
クラウドベースのBI基盤である「Birst」。2017年5月に同社が買収し、急ピッチで統合したという
――日本のクラウド化戦略について教えてほしい。クラウドへの移行はどのくらい進んでいるのか。
McColough氏 具体的な数値は公開していないが、関心は高まっている。ERPは会計や生産管理、購買管理、需要予測など業務が別れているが、クラウド化でこれらを統合したいという要望は強いと感じている。
以前は重要なデータをクラウド環境に置くことに対し、セキュリティの観点から懸念する企業は多かった。しかし、現在はそうした懸念はほとんど聞かれない。われわれはAmazon Web Services(AWS)の「Amazon S3」に対応しているが、一企業でAWSと同等のセキュリティ対策を講じることは不可能だろう。多くの企業はそうしたクラウドのメリットに気づき始めている。
また、データ保護に関しても、AWSはEU(欧州連合)の「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」に匹敵するぐらい強固なポリシーに則っている。つまり、CloudSuiteを利用すれば、データセキュリティの確保とプライバシー保護が実現できる。このメリットは大きいだろう。
米Inforバイスプレジデント&北アジア地域担当マネージングディレクターのGraham McColough氏(右)とアジア太平洋日本地域担当のCas Brentjens氏