山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

今どきの子供はお小遣いを管理しスマホを使いこなす

山谷剛史

2017-07-31 16:44

 中国も多くの学校で夏休みに入った。小学校高学年や中高生は、塾やお稽古事に行ったり、親とともに帰省したりする。学校も塾も学習量は多く宿題が多く出ることから、休みだろうと家で長時間机に向かうことになる。

 それでも休みだから、学生主体の消費パターンとなる。例えば子供連れの旅行のニーズが高まったり、学生向けに情報機器がよく売れたりする。また、学校が休みにならない期間はアニメの動画の視聴回数が宿題する必要のない金曜日に伸びる一方、全ての曜日でそこそこ視聴されるようになるという変化もある。中国のニュースでは毎年この時期になると「暑假経済」「暑期経済」などと呼ばれることも。

 その夏休み経済の中身が、学生の変化により変わっている。中国青少年研究中心(センター)が行った「中国少年児童発展状況研究」では、2005年当時の小中学生と2015年当時の小中学生の情報機器やお小遣いに関する調査結果の比較を行っていて、その結果が興味深いものとなっている。なおこの調査は北京市・上海市・広東省・山東省など10の省市で都会から田舎まで162の小学4年以上から中学3年までを対象に行っている。

 2015年の小中学生の情報機器所有率は、2005年の小中学生よりもずっと高く、今の小中学生はニュースはスマートフォンなどから取得するのが当たり前。2015年の小中学生のスマートフォン所有率は64.6%、2005年の小中学生は8.0%となっている。ただし05年当時はフィーチャーフォンしかないが、大きな差がある。ではパソコン所有率はどうかというと、2015年の小中学生が29.1%、2005年の小中学生は9.7%と3倍もの大きな差がある。

 また、スマートフォンは多機能でさまざまな機能が集約しているにも関わらず、情報機器所有数は15年の小中学生が2.5個、05年の小中学生が1.7個と増えている。15年の小中学生の所有する情報機器は具体的にはタブレットが20.2%、デジタルカメラが15.4%、電子ブックリーダーが10.9%、その他が22.0%となっている。

 15年の小中学生のPC使用率は94.7%で、2005年の小中学生よりも13.4ポイント高い。ネット利用経験があるのは15年の小中学生で88.7%で2005年の小中学生より35.8%高い。また利用時間も長くなっていて、1日1時間以上ネット利用した人は15年の小中学生は16.1%で、2005年の小中学生よりも11.5ポイント高い。また休日についても15年の小中学生は45.8%、2005年の小中学生よりも35.7ポイントも高い。

 情報機器やネットが身近になっているからだろうか、リアルな先生との対峙でも、困難に直面したときに先生に助けを得ようとするのは、2005年の小中学生は24.5%が、15年の小中学生は12.9%となっているという調査結果も。

 おこづかいは、2005年の小中学生は65.9%、2015年の小中学生は71.9%が所有すると回答。お年玉が1000元(約1万6500円)以上だったのは2005年の小中学生は12.5%だったのに比べ、2015年の小中学生は59.7%と物価の差を考えても大幅に増えている。貯金があるのは2005年の小中学生で47.4%、2015年の小中学生で71.9%、しかも2015年の小中学生の23.4%は5000元以上(約8万2500円)貯金しているという。そのお小遣いを自身で管理し自身で使う小中学生は少なくなく、70.6%は学習用品を自分で買い、37.8%がお菓子を買うと回答している。

 情報機器にしても小遣いにしても、10年前5年前と比べて使いこなしている。今後このまま中国経済が良くなり、情報機器やサービスがより身近になれば、さらに学生はそれらを使いこなすことになるだろう。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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