日立ソリューションズの吉田です。
今回は、スーパーコンピュータ(スパコン)とOSSとの関係について考えてみたいと思います。
2017年6月に公開された「TOP500」のうち、498のスパコンは、Linuxが稼働していることがわかりました。
残り2つは、UNIX(AIX)でした。
「TOP500」は、1993年に発足し、世界で最も高速なコンピュータシステムの上位500位までを定期的にランク付けし、年2回発表しているプロジェクトです。
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野の傾向を、追跡・分析するための信頼できる基準を提供することを目的とし、LINPACKと呼ばれるベンチマークによりランク付けしています。
マンハイム大学、テネシー大学、ローレンス・バークレイ米国立研究所の研究者らによってリストが作成され、Conference(ISC)および11月のSupercomputing Conference(SC)の開催に合わせて発表されています。
Linuxが初めてこのランキングに登場したのは1998年のことで、その当時は、UNIXが圧倒的なシェアを占めていました。しかし、2004年のシェアが逆転してから、ずっとLinuxが首位の座を占有し続けています。
2013年6月に発行された、The Linux Foundationのレポート「20 years of Top500.org Supercomputer Data Links Linux with Advances in Computing Performance(20年にわたるTop500.orgのスパコン関連データによって明らかにされた、Linuxとコンピューティング性能の進歩の関係)」には、2つの理由があると記されています。
まず1つ目の理由は、世界のトップに位置付けられるスパコンのほとんどは、特定のタスクに特化したスーパースカラー型の研究機器であることです。それぞれのスパコン開発は、他に類を見ない性質と最適化要求に基づいた独立プロジェクトです。
このため、システムごとにカスタムOSを開発するという選択肢は現実的ではありません。Linuxを採用することで、開発チームは昨今のスパコンの特徴とも言える、”単一目的に特化した設計”に向けて容易にLinuxを改修、最適化できるようになります。
2つ目の理由として、「Linuxディストリビューションをカスタマイズし、自らでサポートしていく場合、ノード数が20であるか2000万であるかに関係なく、ライセンスにかかるコストは同一となる」という点が挙げられています。
「Linuxの大規模なOSSコミュニティーに参加すれば、プロジェクトは開発者のコストを他のOSと同等、あるいはそれ以下に抑えるうえで役立つ、無償のサポートと開発者リソースにアクセスできるようになる」ということです。