今週の明言

IBMメインフレーム事業トップが示した「新規顧客獲得への意気込み」

松岡功

2017-08-04 11:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、米IBMのRoss Mauri IBM Z担当ゼネラルマネージャーと、ベリタステクノロジーズの高井隆太 常務執行役員の発言を紹介する。

「新メインフレームで新規顧客も積極的に開拓していきたい」
(米IBM Ross Mauri IBM Z担当ゼネラルマネージャー)


米IBM Ross Mauri IBM Z担当ゼネラルマネージャー

 日本IBMが先頃、メインフレーム「IBM Z」の新製品「IBM z14」を発表した。メインフレームの新製品は既存顧客のシステム更改に向けて投入されるケースが多いが、今回のz14の発表に向けて来日した米IBMのIBM Z担当ゼネラルマネージャーであるRoss Mauri(ロス・マウリ)氏の冒頭の発言は、発表会見の質疑応答で新規顧客獲得への意気込みを聞いた筆者の質問に答えたものである。

 Mauri氏は今回の新製品について、「メインフレームは世に出てから50年以上経っているが、z14に実装されている技術はメインフレームの進化というよりもまさしく革命だ。その技術的な価値とともに、それが生み出すビジネスの価値に注目していただきたい」と語った。

 同氏によると、z14の特徴を示すキーワードは「データ暗号化」「機械学習」「クラウド連携」の3つ。図にそれらの大まかな内容が記されているが、詳しくは関連記事をご覧いただきたい。

 この中のクラウドに関連する話では、「IBM ZはIBMのパブリッククラウドで使用されている」、さらには「IBMのクラウドはメインフレームで培ってきた技術に支えられている」とも発言。特に後のコメントは、これまでメインフレームを進化させながら提供し続けてきたIBMならではの発想だろう。

 冒頭の発言に注目すると、まず筆者は「z14は既存顧客向けだけでなく、新規顧客を獲得していくのか、また獲得できると考えているのか」と質問した。というのは、新製品とはいえレガシーと見られているコンピュータを新規導入するユーザーなど、ほとんどいないのではないかと思ったからだ。これに対し、Mauri氏は次のように答えた。

 「z14はまずIBM Zの既存顧客のニーズに応えている。なぜならば、IBMは多くの既存顧客の基幹システムに責任を持っているからだ。そのうえで、z14は新規顧客も積極的に開拓していきたい。というのは、とりわけ先進の暗号化技術に対して、多くのお客様から関心を寄せていただいているからだ。今後、四半期ごとにグローバルで5~15社の新規顧客を獲得していきたいと考えている」

 そして、その手応えは十分に感じていると、同氏は自信を示して見せた。これまで長きにわたって市場が縮小傾向にあるメインフレームだが、果たしてIBM Zの新製品が新たな需要の流れをつくることができるか、注目しておきたい。


IBM z14の特徴

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