「データの仕分けは面倒」に対応するベリタス--分類する新技術

國谷武史 (編集部)

2017-08-07 11:17

 業務で作成したデータは、組織のポリシーやルールに基づいて管理することが原則だ。しかし実際には、その作業が面倒だと感じる作成者や利用者は少なくない。管理に不備のあるデータが漏えいすれば、セキュリティ上の問題にもつながる。

 ベリタステクノロジーズは8月7日、リスクのあるデータの検出や分類を行うという新技術「Integrated Classification Engine」を発表した。新技術は、情報管理にまつわる上述の課題に対応したものだ。

 同社は、企業内のデータの利用や管理の実態を分析したレポートを公開している。例えば、同社が「ダークデータ」と呼ぶ、業務での必要性が不明だったり、作成後に全く利用されていなかったりするデータは、企業が保有する全データの52%を占める。また6割以上の企業は、データの管理を機密性や期間などの基準で行っており、データの内容に基づいて管理する企業は16%にとどまる。

 デスクトップやファイルサーバに、ファイルやデータを雑多な状態で保存している従業員は少なくない。彼らの挙げるデータの仕分けや管理ができない理由では、「いつか必要になるかもしれない」(47%)や、「どのファイルを対象にすべきか分からない」(43%)といった言い分が目立つ。こうした従業員の意識や習慣を変えられないと、あきらめている管理者も多いことが分かった。

 データが適切に管理されていないと、例えば、ノートPCに放置されたまま従業員が盗難や紛失の目に遭うことで外部に漏えいしたり、あるいは業務システムのサーバに対する不正アクセスからサイバー攻撃者に持ち出されたりする恐れがある。加えて、改正個人情報保護法や欧州の一般データ保護規則(GDPR)といった規制に順守していないと、管理当局から問題視されてしまう。


ベリタステクノロジーズ エンタープライズSE部 プリンシパルセールスエンジニアの前田隆志氏

 同社エンタープライズSE部 プリンシパルセールスエンジニアの前田隆志氏は、「データが整理されていれば、積極的に管理していける。この理想に向けて、データ管理の重要性と実行の難しさのギャップを埋めていく技術を目指した」と話す。

 Integrated Classification Engineは、もともとストレージに保存されるデータの状況を把握する目的で長年開発が進められてきた。同社が上述のレポートにある分析を行う際にも利用し、「従来の技術はデータの種類や作成日、タグ付けされた重要度といった属性で分類していたが、昨今ではデータの内容(コンテンツ)から分類する必要があり、その機能を実現した」(前田氏)という。

 新技術は、アーカイブデータを対象に、各種規制に関わるデータの検出や分類のほか、ユーザーが独自に設定するキーワードやルール、ポリシーでもデータを仕分けられる。初期設定で100種類上のデータを検出できるパターンも用意する。

 ユーザーが利用する上では、まだ分類方法の設定など、事前に準備すべき部分が残されている。前田氏によれば、将来的にはユーザーごとの利用状況や実際の分類結果などを機械学習させることで、新たに作成されるデータの分類から保存、廃棄までのライフサイクル管理をシステム化し、ユーザーの負担を軽減させていく考えだ。

Integrated
Integrated Classification EngineのGUI

 同社は、Integrated Classification Engineを今後の中核技術と位置付け、まず「Veritas Data Insight 6.0」とアーカイブ製品の「Veritas Enterprise Vault 12.2」から実装し、今後はストレージ管理製品やバックアップ製品にも順次展開することにしている。

 最近では、欧米を中心に組織全体でビッグデータ活用や業務関連データのガバナンスなどを推進する「Chief Data Officer」(CDO=最高データ責任者)を設置する企業が増えつつある。「CDOを中心にデータの可視化や分類を通じて情報を適切に管理していこうという取り組みは、国内では外資系企業などまだ一部にとどまるが、欧米ではツールを積極的に活用している取り組むケースが多い」(前田氏)

 情報管理と聞くと、サイバー攻撃や内部不正などによる漏えいを防ぐようなセキュリティの観点でとらえがちだが、同社は、データが生み出された時点から廃棄するまでのライフサイクル全体でガバナンスを効かせることが、バランスの取れた情報の活用とリスクの低減につながると提起する。

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