アクセンチュアは7月26日、調査レポート「テクノロジービジョン2017 保険業界向け」を発表した。保険会社の経営幹部の75%(日本では67%)が、AIにより今後3年間で保険業界全体が大きく変わる、もしくは完全に変容するだろうと考えていることが分かった。
AIにより今後3年間で自社が「完全に変容する」と考える経営幹部は32%(日本では35%)を占めており、「大きく変わる」との回答も39%(日本では23%)に上った。
同調査は、世界31カ国の550人以上の保険会社の経営層およびIT部門責任者を対象に実施した。主な回答者は、年商5億ドル以上の企業の上級役職者および部門・部署の責任者で、大多数の企業は年商60億ドル以上。
ユーザーインタフェースにAIを組み込むメリットについては、55%(日本では48%)の回答者が「データ分析の改善と顧客理解の強化」を挙げている。68%(日本では61%)の回答者が、顧客とのコミュニケーション向上を目指し、AIなどを使ったインテリジェント・バーチャル・アシスタントを全社もしくは特定の事業分野で現在使用していると回答している。
また、94%が、プラットフォームを軸にしたビジネスモデルの導入は、自社にとって「非常に重要である」と答えており、76%が、選択するパートナーとエコシステムの持つ力が競争上の優位性に影響を与えると回答している。日本に見られた傾向としては、エコシステムに期待するものとして、「商品やサービス開発時の俊敏さ」や「新たな顧客基盤へのアクセス」、「顧客満足度の向上」といった、より具体的な期待効果を挙げた割合が、グローバルに比べて低くとどまった。
人材のマーケットプレイスについては、契約社員や外注だけでなく、フリーランサーなども活用したクラウドソース型へと進化する状況の中、回答者の54%が、来年中にクラウドソース型人材を25%〜100%程度増員する予定であると答えている。さらに2倍以上の増員を計画しているとの回答も9%あった。日本においても、保険会社幹部の55%が、こうしたクラウドソース型人材の登用を1年以内に拡大する意向を示している。
ブロックチェーンなどといった先進技術については、84%の回答者が、今後3年間でブロックチェーンとスマートコントラクトが、自社にとって非常に重要になる、もしくはある程度重要になると考えている。
アクセンチュアは、日本の保険会社幹部の65%が「業界の規制がイノベーションの発展に追いついていない」と感じており、日本政府も金融に関する規制の緩和に動き始めているとした。そのうえで、今回の調査では、実際に「ビジネスの主導権を握るために企業コンソーシアムの形成を既に開始している」と回答した日本の保険会社幹部は6割を超え、グローバル平均の4割を上回っていることを明らかにした。そして、従来の業界の定義を超えるようなスマートコントラクト(ブロックチェーン)の領域などについては、関係する業界やテクノロジの専門家を含むコンソーシアム形式での対応が必要となるかもしれないと指摘している。