キヤノンITソリューションズは8月8日、同社が国内総販売元として提供するセキュリティソフト「ESET」で検出された2017年上半期のマルウェア動向などを発表した。攻撃メールの添付ファイルで感染させる手法が多様化している。
同社によると、2015年以降に国内で検出される主なマルウェアは、身代金要求型(ランサムウェア)と情報搾取型の2つ。2017年上半期は、1~3月に検出数が減少したものの、4~6月は月平均39%増に転じた。検出された上位10種中8種が攻撃メールに添付されたダウンローダーで、これに感染すると、マルウェア本体を後から送り込まれる。
検出されたマルウェア上位10種のうち8種がダウンローダーだった
攻撃メールの添付ファイルは、2016年から2017年3月にかけてJavaScriptが主流だった。しかし5月以降は、Microsoft Officeでマクロを実行させるためのVisual BasicやPowerShell、PDFも急増している。いずれもマルウェア本体を送り込むために、正規のアプリケーションの機能を悪用するのが狙いだという。
キヤノンITソリューションズ マルウェアラボ マネージャー兼シニアセキュリティリサーチャーの石川堤一氏
マルウェアラボ マネージャー兼シニアセキュリティリサーチャーの石川堤一氏は、企業や組織でプログラム実行が可能な拡張子(.exe、.js、.scr、.bat、.cmdなど)を伴うファイルを添付したメールを検知する対策が進み、攻撃者側がドキュメントファイルなどに偽装する方法で対策の回避を試みるようになったと解説する。
またフィッシング攻撃では、ウイルス感染警告などを装う偽画面を使ってフィッシングサイトに誘導する手法が増加した。まとめサイトを閲覧したAndroid端末のユーザーが広告経由で誘導される攻撃や、Microsoftの偽サポート、Officeの偽のライセンス確認といった攻撃が見つかっている。
同社では、下記の基本的なセキュリティ対策の実施を推奨している。
- セキュリティパッチを適用する
- セキュリティソフトを最新に保つ
- Officeのマクロ機能をデフォルトで有効にしない
- Officeファイルの古い形式の拡張子はできるだけ利用しない
- ウェブブラウザに関連付けされている拡張子で使わないものは外す
- 英文メールを取り扱わない場合はスパム対策で排除する
- ランサムウェア対策やコンテンツフィルタリング機能付きのセキュリティソフトを使う