日本は急速な人口減少に伴い、ベースシナリオでは、就業者数は2016年の6440万人から2030年には5561万人まで減少すると見込んでいる。一方、IoT・AIを導入した経済成長シナリオの場合では、2030年の就業者数を6300万人と推計している。
今後、IoT・AIの導入がさらに進むことで、労働参画の促進や労働の質向上などの一人当たりの生産性向上によってマクロ的な人手不足の解消が期待されている。

政府は、IoT・AIの導入を含むICT投資が進んだ場合の2030年までの経済成長シナリオをどう見ているか。IoT・AIへの投資とデータ流通時代に対応した企業改革(業務見直し、組織改革、人材育成など)などが進展した場合、2030年には、実質GDPを132兆円押し上げ、725兆円に達すると予測している。
人口減少が急速に進む中においても、IoT・AIなどのイノベーションを通じた生産性向上や労働参加率の向上による人手不足の解消を見込む。一人当たりの所得増に加え、新たなビジネスモデルなどの新需要の創出により、持続的な経済成長は可能と想定している。

出所:総務省平成29年版情報通信白書
日本では、先進的な企業と一般的な企業とで、意識や取り組み状況などに大きな差がある状況だ。第4次産業革命に向け、IoT・AIの導入や対応に検討を進めている企業が半分近くの48.3%という状況の中、今後は全体的な底上げを図ることが必要となる。先進的な企業の水準に近づけないと、日本が世界的な第4次産業革命の流れの中で遅れを取ってしまう。