矢野経済研究所は8月7日、国内のERPパッケージライセンス市場に関する調査結果を発表した。
これによると、2016年のERPパッケージライセンス市場は1130 億4000万円(エンドユーザー渡し価格ベース)で、前年比4.4%増となった。2015年およびここ数年の伸び率と比較すると、やや減速傾向となっている。また、2017年の同市場は前年比 4.8%増の1185 億円(同ベース)になると予測している。
調査は2017年4月~7月に実施され、ERPパッケージベンダーへの同研究所専門研究員による直接面談で調査している。
ERPパッケージライセンス市場の市場規模推移と予測
最近の市場動向について、2015年はマイナンバー(社会保障・税番号)制度施行を契機とした販促活動により、一部のERPパッケージベンダーが人事給与分野を中心に業績を伸ばしたとしている。また2016年については、法制度の改正や何らかのトレンドに影響されることはなく、景気好転によるIT投資の再開の影響も終息しているとみる。
しかしその一方で、ユーザー企業の景況感は底堅いとし、ERP への投資も単なる老朽化対策による情報システムリプレース需要にとどまらないとした。経営基盤であるERPを見直すユーザー企業が増えており、その動きがERP市場の成長を支えているという。
さらに、ERPパッケージベンダーの動向については、好調か停滞気味か、業績の明暗が分かれる傾向にあり、競合他社に対して、製品力や販売力での差別化が遅れている企業は苦戦しているという。
ERP市場でのクラウドの利用については、CRM/SFAやその周辺システムと比較して、基幹システムであるERPはクラウド化が遅れていたが、その風向きは変わったとした。特に保守的な姿勢が強い中堅企業は、クラウド利用に踏み切れない傾向がみられたが、現時点においては企業規模を問わずクラウドが採用され始めているとし、今後のERP市場においてクラウド化は一層加速すると予測している。